定員の半分しかいない都立高校

こんにちは。
元高校事務の人、ひろかです。
3月1日は都立高校の合格発表でした。
合格された皆さんは受験勉強おつかれさまでした。
ここから入学までも(手続きとかを含めて)バタバタだと思いますが、頑張ってくださいね。

各高校の合格者数は教育委員会のホームページでも公表されています。

この中で今回私が気になったのは「杉並工業高校」
その名のとおり杉並区にある工業高校です。
ここの学力による選抜の結果に驚きました…。

杉並工業高校の受検状況(学力)
募集人数 102人
応募人数  29人
合格者数  29人

うーん…推薦入試と合わせても、募集140人(合計)に対して合計67人しかいないのです…
もちろんこれから第二次募集もあるのでもう少し増えるかもしれませんが
危機的状況が過ぎますよね…
学校としても想定される学校活動が出来なくなったりして活気がなくなり、
そもそも税金で運営されている学校ですから、税金の無駄遣いともとられかねません。

例えばこれが何か事件があってこの1年だけ人気がなくなってしまった
ということならまだ理解できますが、調べてみても悪くなる一方です。
学校自体が学校の魅力をPRするということも大切ですが、
ここまでくるとそれだけではない課題もありそうです。

事例にしてしまって申し訳ないのですが、
どんな問題があるのか考えていきたいと思います。

まずは、どんな学校か?

杉並工業高校は、「工業科」に属する専門学科の高校で、機械科・電子科・理工環境科の3つの科で専門的な学習を行っています。
場所は東京のほぼ中央「杉並区」。西武新宿線とJR中央線を利用することができ(特に西武新宿線は徒歩圏内)、練馬区や中野区、西東京市あたりからは自転車で通うことも可能です。
卒業後の進路は、半分程度が就職(学科により大きく異なる)
大学進学者も一定数おり、都内私大が中心。
その他、学科の専門性をより深める専門学校(自動車関係など)への進学も特徴です。

工業高校の情報としてはまあ普通だなと思いつつ、
気になるのはやはり立地が良いのに人気がないこと。
都立高校は「都内に住んでいる人」しか出願できないので、
大田区や練馬区などのはじっこの学校の倍率が下がるのはある程度仕方ないことなのですが
杉並区であれば一定の生徒の流入はそもそも期待できるはずです。
考えられるのは「知られていない」か「選ばれていない」のどちらかです…

学校の周辺環境から考えられる問題は?

① 工業高校が周囲に多すぎる

これ、実は長いこと思っているのですが、
城西エリア工業高校多すぎ問題というのが(私の中で勝手に)ありまして、
例えば人口の多い練馬区に住んでいる場合、自転車で通える範囲に
「練馬工業」「中野工業」「北豊島工業」「田無工業」「杉並工業」と5つの工業高校があります。
ほぼ全校に「機械科」(相当のコース含む)があるカブり感もあり、いずれの学校も倍率が高くありません。
また、校舎が比較的きれいな学校や広い実習上がある学校もあることから杉並工業高校が選ばれにくい状況になっている可能性があります。


杉並工業高校の近くの工業高校(▲の印)なぜか固まっています…

② 周囲の受験生のニーズとあっていない

杉並工業高校の弱点はもしかすると場所にあるのかもしれません。
地元が杉並で(おそらく)近隣の方の大学進学率も高く、進学指導をしてくれる学校の方がニーズがありそうです。
杉並工業高校自体も工業高校の中では進学率が高いので、そうした傾向が表れています。

③ 学習内容が分かりにくい

機械科、電子科、理工環境科の3つですが、
何の勉強をしているのか分かりますか?
中学校までの生活で工業に触れる機会が少ないので、おそらくどんなことをやるのか名前だけでは理解できない人も多いと思います。
学校のホームページを体系的にするなど、
もっと学習の内容を分かりやすくする必要はあります。
特に「理工環境科」は都立高校の中でも2つしかない化学系の学科で
学科としてはとても意味のある学科だと思いますが、何をしたいのかとても微妙な気がします…。

こうした学校の弱点は、とても自力で路線変更できるものとは思えず、このままでは杉並工業高校はずっと選ばれない学校のままではないでしょうか。

例えば、学校の方向性を変えてみるのはなしなのか

もしこの高校を中学生から選ばれる学校に変えるとしたら…
検討にはもっとデータが必要なので、架空の話になりますが、
ちょっと考えていきたいと思います(続)

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