「睡眠不足気味」から「睡眠障害」へ ◇うつ闘病記 その3◇
うつ病になった原因はやはり、身体的疲労と不調を放置していたこと、そして何よりも、睡眠を軽んじていたことだと思う。
当時は特に深刻な精神的ストレスや悩みを抱えていたわけではなく、それなりに平和に生活していたが、寝つきが良くなかったり、やりたいことがいろいろあったりして、毎日の睡眠時間は5時間ぐらいだった。
ショートスリーパーの人もいるし、5時間寝ていれば大丈夫だろうと、たかをくくっていたが、数年にわたって睡眠負債が蓄積され、それが一気にうつという形で噴出したようだった。
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うつ発症の日を境に、「睡眠不足気味」から「睡眠障害」へとはっきり切り替わった。
どれだけ待っても眠気がやってこない。
完全に目が冴えたまま、一睡もできずに朝を迎える日が続いた。
実際は、自分では気づかずとも、少しは浅い眠りが訪れていたのだとは思う。しかし、体感的には「一睡もできなかった」。
朝を迎えるのがつらくてたまらなかった。
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なんとかしなければと追いつめられた気持ちで、睡眠に関する本やネット記事を読んだ。枕を質の良いものに変え、ラベンダーなどリラックス効果のある香りのスプレーを寝具に吹きかけた。自律神経を整えるリラクゼーション音楽を聴き、チクタクと音のする壁掛け時計は外した。
眠れないことへの不安を少し和らげてくれたのが、この本である。
コミックエッセイなので読みやすく、著者や猫をはじめ、キャラクターたちが可愛くて優しい。
本の通りにすべて実践することはできなかったけれど、常に枕元に置き、精神安定剤のように毎晩繰り返しページをめくりながら、「大丈夫、必ず眠れるようになる」と自分に言い聞かせて心を落ち着かせていた。
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しかしながら眠れぬ日は続く。少しでも心身の苦痛を和らげようと、電気を消してから布団の上で自律訓練法を行うようにした。
*自律訓練法*
自己催眠によってリラックス状態を作り、自律神経のバランスを回復させて心身の安定を目指す方法
「気持ちがとても落ちついている~」
「右腕が重たい~」
「左腕が重たい~」
「右腕が温かい~」
「左腕が温かい~」
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決まった公式(言葉)を決まった順に心の中で唱えていき、最終公式までたどりつくと、そのまま20分ほど瞑想に入る。
しばらく毎夜続けたが、体じゅうの異常事態は一向におさまる気配がなかった。
(注:あくまでも「うつ発症時の私には」効果はなかったけれど、昔、緊張を和らげるために実践してみた時などには、かなり効果がありました)
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「眠れなくても、横になっているだけで脳の血流が良くなって、体の疲れはとれます。確実に疲労回復できているので、心配しないでください」
医師の言葉を信じるしかなかった。
布団の中で何度も寝返りを打ち、ウンウンうめき、ぱっちりと目を開けて暗い天井を見つめる日が続いた。
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