スマトラセンチメンタル

そういえば先日、
といっても一月位前かな?
神保町の共栄堂に例のスマトラカレーを食しに行った。

かれこれずいぶん久しぶりだったけど店構えも何もかも変わらず…

いやちょっと待てーい。と

お水を高ーいところから注ぐ姿が優雅だった、確か中で厨房仕切っている大将の弟さんだったか…

いないじゃないの。

なんだかなぁー…一介のカレー屋にしてまるでホテルマンのような身のこなしでホールを仕切り、杉下右京ばりのポット捌きで水のおかわりを注いでいたあの姿が無いじゃないの!
と、衝撃を受けつつ「ポークソース大盛り」といつものやつ頼む。

まぁ、安定のお味。
変わんないね。良くも悪くも。

そんで、長っ尻はしない主義なので、
速やかに完食して、そそくさとレジへ

1450円になります。

え!?

1050円握りしめていた自分は頭が真っ白になりました。

あーーまぁそうだよなぁとお財布から小銭追加して払いましたよ。

別に高いとは思わない。

スタッフの顔ぶれ変わったのも寂しいとは思わない。
だってそもそも心通じていたわけじゃないしね。

でもなんていうんですかね、
うっすら喪失感みたいなもの感じるわけです。

最初に食べた時の「えー、なんかどこのカレーとも違う!」というあの衝撃。

そしてルーと言わず、ソースと言う微妙なローカルルール。

ご飯の真ん中を窪ませて自分でカレーを注ぎながら食べ、終わった時にカレーで汚れた部分が極小化される自分なりの食べ方。

大正からやっていて、名だたる文豪たちが座ったであろう席で単行本かなんか持ってね読みながらちょっとゆっくりめに食べたり…

ま、キリがないのだけどそうやってじわじわと馴染んだお店が、
しばらく(といっても10年とかそういう単位)来ないうちになんというか、違うものになってしまった感。

なんというか間違い探しのようにポツポツと相違点に気づいていく感じ。

忙しく騒々しいお店の中で自分だけがノスタルジーに浸ってしまっている、まるで時間に取り残されたような気分。

たかがランチカレーで人生のスパイスを味わうことになるなんて。

独特のスパイス薫る黒いカレーの味はそのままだったのが救いだけど。

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