見出し画像

キーホルダ用の鋳物プレート工作【前半】

今年度の応用コースのフィナーレは「鋳物」。金属を溶かしてキーホルダ用のプレートを作る。作業量が多いので二週に分けて実施。今回は全体の概要と前半の工作内容を紹介する(約1,200字)。


1. 工作の背景

ここI県は昔から砂鉄の産地(砂鉄川という名前の川があるほど)で,現在も多様な鉄器(鉄瓶,鉄鍋,風鈴など)の生産で有名。

子供達もそれらの製品を目にする機会は多い。それらがどのように作られるのかを工作で体験し,地元の伝統工芸への理解を深める。

金属加工技術の面では,3つの基本技術(鍛造,切削,鋳造)の一つであり,この工作を契機として他の加工技術にも関心を持ってほしい。

なお,鋳造の材料(金属)をプラスチックに替えれば射出成型になる。「金型」のことやプラモデルの部品が付いている棒の部分の意味が分かる。つまり,最終製品を見て,その製造過程が想像できるようになる。

2. 工作物

見出し画像に示すように,鋳物でメタルプレート(最大でW3.5cm,H5cm)を作る。プレートにはイニシャルや模様を入れる。チェーンとフック部分は市販品。

3. 工作の手順

①プレートのデザイン(事前に下絵を考えてくる)
②デザインを描き入れた型紙作り
③型紙を板に貼り,彫刻刀で切り抜く
④切り抜いた板の両面に厚紙を貼り付けて型枠を作成
(模様や文字を入れる場合は,その型を薄板で作成して貼り付け)
⑤金属を溶かして型枠に流し込む
⑥型枠から金属を取り出してバリ取り
⑦チェーンを取り付ける穴開け加工
⑧サンドペーパーと研磨剤で表面を研磨
⑨チェーンやフックを取り付けて完成

4. 工作(前半)の概要

(1) デザイン例
子供達が考えるデザインは動物,星,月,ハート,自動車など多様。模様としては自分の名前のイニシャルが多い。

(2) 造型:型枠作り
プレートは平面のため砂型は不要。代わりに,木板に彫刻刀で型を切り抜き,その両面を厚紙で覆うことで型枠を作る。

プレートにイニシャルや模様をつける場合,凸型(describe,見出し画像の右側)と凹型(inscribe,見出し画像の左側)がある。

ほとんどの子が作成の容易な凹型を選ぶ。イニシャルを厚紙やコルクの薄板から切り出し,型枠の底に貼り付ける。型と実物は左右反対になる(版画と同じ)。

(3) 鋳込み:溶融金属の流し込み
使用する金属は錫(すず)。ハンダ付けに使われており,融点が約230℃と低い。光沢があり錆びにくいので装飾品や食器などに向く。

左:鋳込みの様子  右:鋳型と鋳込み直後のプレートの外観

5. まとめ

鋳物でキーホルダ工作というと小学生には難しいと思われそう。しかし,指導員のTさんが5年以上かけて創り出した工作レシピのおかげで,全員が問題なく鋳込み作業まで進んだ。次回は仕上げ作業。

今回,最後まで作業を進めて完成させた子供もいる。次回,もう1個新しいキーホルダを作ると意気込んでいる。

鋳型を壊して自分がデザインした金属プレートが出てきた時の感動は一生忘れられない。そのような体験は子供達の人生を豊かにしてくれるはず,,,

後半に続く(下線部をクリック)




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?