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整いが約束された場所

りらりらりらリラックスしに〜♪
ササッサッサァッ イィヤァ サウナー♪
りらりらりらリラックスしに〜♪
ササッサッサァッ イィヤァ サウナー♪

店の入り口にある張り紙の文字に目が止まる。
【現代最高峰の整いをお約束します。】
【整わなかったら全額返金保証!!】
黄色い紙に黒文字でデカデカと書かれている。まるでラーメン二郎の看板のようだ。
現代における整いとは?と言った課題を解消するための、禅問答のような問いを繰り返した先に辿り着いた一つの答えのようだ。確かに、ストレスは現代の生活における大きな課題なのだから…
BGMも何故か沖縄民謡の合いの手のようで、誰もが無意識で口ずさんでしまうようなキャッチーなものを目指したのだろう。何故沖縄とサウナなんだろう?と疑問も浮かぶが、主人のオルタナティブな感性なんだろうと思うことにした。入り口の左右に椰子の木とシーサーがあり、店内のカウンターのど真ん中に2メートルくらいのガジュマルが御神木のように鎮座している。カウンターの脇に、日替わり水風呂と書かれたポップがあり、"もずく"と書かれていた。ここのお店の売りの一つが日替わり水風呂らしい。月曜から土曜までの営業日毎に日替わりの水風呂がサービスとなっている。

月曜"パインアップル"
火曜"もずく"
水曜"アップルマンゴー"
木曜"ゴーヤ"
金曜"めんそーれ?"
土曜"海ぶどう"

金曜日のめんそーれはようこそと言った意味だが、ここで言うめんそーれはお店に来てみないとわからないパルプンテのような意味合いとのことだ。

サウナ室は3室あって、"真夏の沖縄"  "台風" "マングローブ"があり、それぞれが冠通りの特徴を配してある。"真夏の沖縄"は温度が70°前後とサウナにしては低い温度設定、湿度が75%程度で、天井に日焼けサロンのような紫外線ライトが配置してある。"台風"は温度90°強で天井にシャワーがあり、時間になると天井から雨のように水が降り注ぐ。サウナストーブで熱したサウナストーンが蒸気をあげる。側面の壁に設置されたサーキュレーターからは台風のような風が吹き荒れる。全自動ロウリュウみたいなものらしい。"マングローブ"は室温40°前後で、膝上くらいの高さのお湯が張られている。所謂、蒸し風呂だが、水草のような草が植えてあり、マングローブを感じる事ができる。カウンター内のスタッフの衣装はアロハに短パン、足元はビーサンで全員がサングラスをかけている。サングラスをかけている理由は店内に入った時点で沖縄を感じてもらいたいと言う思いからか、紫外線量が高いのだ。サウナは水着で入るスタイルだ。メンズデー、レディースデーもなく、男女共に一緒に利用することができる。料金設定まで沖縄を意識しているのか、1時間強1100(税込)、2時間強2100円(税込)、3時間強3000円(税込)と、ウチナータイム込みとなっている。サッカーのアディショナルタイムのようなものだが、その日のスタッフの気分次第で判定が下る。店主はと言うと、褐色の肌で堀りが深いわけではないが、サーファー系のハッキリとした顔立ちで、一見強面系だが、笑顔が可愛いのでギャップ好きの女子に人気があるらしい。筋金入りの沖縄フリークでもなければ、サウナフリークでもないところが好感が持てる。ただ、近年流行ってるサウナ業界に一石を投じようと言う心意気を感じる。

「サウナうちなんちゅに行きませんか?」とある日KJに誘われた。
「日替わりの水風呂で、もずく水風呂ってあるんですけど、おれ、ほんと好きなんですよね。」
「今まで言ったサウナの中で一番良い汗がかけるんですよ。マジで最高なんです。」
との誘い文句になぜか惹かれてしまった。KJは毎回自己ベストを更新するくらいにその日1日を楽しむことに長けている。ラーメン屋、町中華、タコス屋など、行くたびに「ここの〇〇が一番なんですよねぇ。」と人生を楽しむ度量がすごい。U Iちゃんも一緒来ることになった。UIちゃんはサウナーと呼んでも差し支えないくらいにはサウナが好きだ。サウナうちなんちゅには行ったことないらしい。

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