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年老いた夢#1

 きらりと光る星を眺めていた時のこと。今でも鮮明に思い描くことができる。あのときあの場所で、空の彼方に光る星を見たとき。何光年も離れた何処か遠い銀河の星の瞬きがひとりぼっちの心のつぶやきのような孤独を纏い、つまびらかな夜の波止場の汽笛のような儚さを漂わせていた。永遠に紡がれるであろうはずの営みが断ち切れるようなハッキリとした光の明滅だった。今にも溢れ落ちそうな光の雫が見えた時、刻が止まったかのような逡巡を魅せ、美しき時間が織りなす芸術の狭間のほんのひと時を何倍にも膨れさせた。


「いち、にぃぃっ、さんっ、よんっ、ごっ、ろくっ、ななっ。まだいける、軽い軽い。はぁぁち、きゅう、あぁ惜しい。」
「ハァ、ハァ。ハァァァァ。あー潰れてしまいました。」
「惜しかったですよ。呼吸が整っていれば多分イケましたね。ほんと強くなりましたね。凄いですよ。」
「ありがとうございます。」

 筋トレをはじめて一年半くらいになる。ベンチプレスが60kg 10回3セットが出来たり出来なかったりするくらいのレベルだ。60kg10回1セットができれば1RM(RMとはRepetition Maximumの略称で最大挙上重量を指す。)は75kgとなる。75kg は自分の体重よりも重い。一年半でこのレベル感は40代からはじめた身としてはまずまずといったところか、と思いたい。僕には筋トレの師匠がいる。師匠は映画ファイトクラブのブラッドピットに憧れて筋トレをはじめた。師匠は筋トレ用語を日常的に使う。例えば「神経系ですね。」とか「カーボ入れますか?」とかとか… 絶妙なトレーニーワードが高レップで繰り出される。そんな師匠と合トレをするのが一つの楽しみになっている。一人でジムにいる時間も好きだが、合トレは一味も二味も違う。ジムには色々な年代の男女がいて、健康運動をしに来てる人、研鑽を積んで体を大きくしたい人、ダイエットをしたい人、大会を目指すような人などなど、さまざまな強度でそれぞれが自分なりにトレーニングをしている。外国の人たちもいて、鏡の前でダンスをしながら自分を鼓舞し重い重量の重りと向き合ってる。本質的にはトレーニングという営みには始まりも終わりもなく、日々歩いてるという事は有酸素運動をおこなっているという事だから、この世に生まれ落ちた時点で強制的にトレーニング(重力)と向き合わざるを得ないという訳だ。あるのは強度の違いというだけで、意識しているか、していないかの違いでしかない。この意識をするという行為がとても重要になってくる。所謂、イマジネーションをフルに働かせてトレーニングを行う事でトレーニングの効果が何倍にも膨れ上がる。トレーニングを行う理由は、さまざまだが、ダイエットをしたいとか、ヒョロガリが体を大きくしたいといった理由などがよくある。トレーニング+食事+休息。この単純な足し算を飽きる事なく続けることが出来るか、これがトレーニング効果を出すもっとも簡単でもっとも難しい方程式と言って良いと思う。

 と、まぁ、初心者ながらにトレーニングについて色々と語ってはみたものの、それはそれ。。。

年老いた夢と言うタイトルの話を始めよう。。。

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