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子どもに微笑めないってだけなのに

わたしは、人間の子どもをかわいいと感じたことがありません。

動物は大抵好きで、例えば一般的にあまり人気があるとは言えないハダカデバネズミすら愛おしく思うのに、何故人間の子どもだけにまったく興味が湧かないのか、自分でもよく分かりません。

偶然、電車内やレストランなどで隣り合わせた子どもが、信じられないほどの大きな声で叫び始めたりすると、わたしは恐れおののき固まってしまいます。

「かわいいと感じない/無関心」から
「苦手/恐怖」へと移り変わる瞬間です。

保護者の方も大変なのは承知しているし
恐らくこの程度は日常茶飯事なのだろうし
躾ではどうにもならない場合もあると聞くので

あからさまに見たり、眉根を寄せたりは、しないように心掛けています。

自らの怖気と動揺を隠して「別に大したことはありません」という顔を出来るだけ保つのが、わたしの努力の限界です。

でも内心、理想像を思い描いてはいます。

お子さん、かわいいですね、
いくつくらいですか?などと話し掛けたり
子どもに微笑みかけたり
おかしな顔をする等して笑わせたり。

そして、実際にそういうことが出来る人を見ると、激しい劣等感を覚えます。

すごい。すごすぎる。
わたしには到底、無理だ。

そして、言っても詮無いことを
心の中で呟くのです。

わたしだって、出来ることなら
そっち側に行きたかった。
子どもを無条件にかわいいと思いたかった。
子どもって大好き、本当にかわいい、
そう心から言える人間だったなら、
優しく微笑めたら、どんなにか。

でも、わたしはそう生まれつきませんでした。

昭和生まれの女としては
それは少し不幸なデフォルトでした。

母性本能とかないの?
女の子なのにおかしい!
本当に女なのかよ笑

そんな風に否定されるのは殊の外しんどく、ああ、わたしは欠陥人間なんだなと認識するのに十分だったので。

でも、今改めて考えると

わたしは子どもに微笑むことが出来ないだけで
本人や保護者を非難しないし
危害も加えません。

それなのに、そんなわたしを
女としておかしい、変だ、などと
糾弾したり嘲笑したりすることは許されるって

やっぱり何かおかしかったなと思うのです。

多くの人がかわいいと思う、らしいものを
わたしは、かわいいと思えない

ただ、それだけのことなのに。

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