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コップからミルクの香り

喫茶店が好きです。
ナポリタンが好きなのです。

古き良き喫茶店。
店員さんがそんなに親切じゃなくて
笑顔でもなくて
そこまでキビキビしてなくて
お洒落でもなくて
落ち着きます。

唯一のデメリットは、喫煙可のお店が多くて店内がモクモクしていること。

でも、喫煙可であることを分かっていて尚、わたしはナポリタンが食べたかったのです。
隣の席の人と前の席の人がわたしのナポリタン中にタバコを吸い始めて息が出来なくなっても、それはわたしの選択による結果です。
文句は言えまい。
でも煙い。辛い。目が痛い。
段々ナポリタンの味が分からなくなってきた…

と気を遠くしながら苦行の如くナポリタンを食べていたのですが、最近、法改正にコロナが追い打ちを掛けたらしく、続々と喫煙不可のお店が増えています。

おお、ここも
おお…!ついにここも

と、お店の扉に高々と掲げられた「禁煙」の看板を寿ぎつつ、モクモクしなくなった店内で心行くまで美味しいナポリタンを食しております。

ナポリタンを食べた後は、
お水をいただきます。

わたしは食事中に水分を必要としない体質なので(フランスパンとかでも大丈夫)

わたしにとってお水を飲む行為は
食事終了のサインです。

グッと飲み干したそのコップから
ふっと
ミルクの香りがすることがあります。

…ミルク?

あゝ
洗い残し。

わたしは嗅覚が過敏気味でして
恐らく前にこのコップを使った方がコーヒーにミルクを入れて飲んだ口でお水を召し上がったのか、ミルクをかき混ぜたスプーンをこのコップに入れていたのか、お店の方がミルクの食器を洗ったスポンジでこのコップを洗ったのか。

定かではありませんが
こういうことは
ままあります。

チェーン店であまり感じたことがないので、たぶん、人の手による洗浄には限界があるということなのでしょうね。

お水を飲む前に、ナポリタンはすべて食べ終わってしまっています。

ミルクっぽいお水を飲んでしまったけれど、
もはや口直しは出来ない。

後の祭り。

ミルクやコーヒーやその他、ありとあらゆる確実にわたし起因ではない香りを検知して

この香りはどこから来たのかしら
前お使いになったのはどんな方だったのかしら

と思いを馳せてしまうことになる可能性を視野に入れず、保険でナポリタンを少し残しておくこともなく、一気にお水を飲んでしまったのはわたし。今日に限って口直しのハッカを持参するのも忘れた。

これもまた、紛れもなく
わたしの選択による結果なのです。

わたしはお水の料金を支払っていませんので、このお水は完全にお店の方からのご厚意。
だから洗い残しについて文句なんて、口が裂けても言いますまい。

でも一言だけ
一言だけ、
心のなかで叫ぶことを
お赦しいただきたく存じます。

台無しだよ!

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