見出し画像

まる子と喜代美と、それからわたし

幼い頃から、目が異様にキラキラしていて美しい涙を流すレディースコミックの登場人物たちや、その美貌故に高貴な殿方に守られるプリンセスたちに、1ミリも共感できませんでした。

だから、ちゃんとズルくて隙あらば怠けようとする『ちびまる子ちゃん』と出会ったときは、大層のめり込んだものです。

のめり込み過ぎて、母親にコミックを全巻捨てられたものです。

一方、昨今の朝ドラヒロインって一般に、こんな感じの人が多いですよね。

・無邪気
・冒険心豊か(幼少期に木に登るか池に嵌る)
・陽キャ
・友人や家族を大切にする
・モテる、けれども一途
・夢を追い続ける
・粘り強い

こんな人、肉眼で見たことあります?

邪心が無くて夢に向かって一直線で、いつでもみんなのことを考えて、前向きで直向きでやる気と元気に満ち溢れている人なんて。

現実味がない。

だから朝ドラは、人間の汚い部分を限りなくゼロまで削ぎ落としつつ、きれいな面を極限まで盛った壮大なフィクションとして鑑賞しています。

(そんなん言いつつ見るんかい)

そんな中、わたしが今までに見た朝ドラで唯一無二の「実在感」を誇っているのが『ちりとてちん』の和田喜代美です。

Wikipediaでもこんな紹介をされていました。

これまでの朝ドラヒロインにありがちな「持ち前の明るさで、困難を乗り越えていく前向きな主人公」とは180度異なる、心配性でマイナス思考のヒロインが大阪で落語家を目指す姿を描く。
Wikipedia

劇中、同姓同名(漢字違い)の優秀で心やさしく美しい同級生(←こっちの方が余程ヒロインらしい)にガチガチの劣等感を抱いて苦悩する姿なんか、また共感を誘います。

歴代のヒロインに、喜代美ほどみっともなく嫉妬してみせた人がいたでしょうか!
(褒めてます)

やっぱり人間らしさって、悔しさだったり、やるせなさだったり、ふと抱く邪な気持ちだったり、そういうところに現れると思うんですよね。

だからわたしは、自分の中の汚くてドロドロした、出来れば人に見せたくないような嫌〜なものこそ「ああ、わたしってばつくづく人間だな、こういうものを感じることが出来てよかったな」と味わいたい。

noteでも、きれいな部分しか見せない人より、ちょっとダメだったり、苦しみをちゃんと苦しんでいたりする人に惹かれます。

わたしも、せっかくリアルの知り合いゼロでnoteを書いていますので、これからも変に繕うことなく、正直なところを書き綴っていきたいなと考えています。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?