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みんな、自分がいちばん気遣ってると思って生きてる

お前って、本当に無神経な奴だよな
と、言われたことがあります。

言われた当初は腹が煮えくりかえり、何故こんなよく知らない男に突然お前呼ばわりされた上、無神経な奴と断定されなければならないのか!
無神経なのはどっちだ!

と憤り、でもそういえばわたしって確かにそういうところあるかも、みんな本当はそう思っているのかも…などと、しばらくウジウジと引き摺ったものです。
(たぶん当時mixi(懐かしい)に書いたと思う)

今となっては、誰にどんなシチュエーションで言われたのかも、覚えていません。

中年ともなりますと、忘却力が鍛えられ、肝が据わる上に他者と自分は別の人間であるという認識がはっきりしてきますから、誰に何を言われても「へぇ、あなたからはそう見えるのね」と平気の平左でいられる確率が高まります。

中年まで生きててよかった。

さて、件の無神経発言ですが、恐らく彼はただ、率直な気持ちを口にしただけなのでしょう。

わたしは、自分では日頃から限界まで神経をすり減らし、懸命に迷惑をかけないよう、みんなが気持ちよく滞りなく過ごすことができるよう心掛けて行動しているつもりですが、発言者からすれば無神経にしか思えないような何かをしでかしていた、ということなのでしょう。

混雑する電車に乗っているとき
乗り換えを行なっているとき
何かの列に並んでいるとき
エレベーターに乗り降りするとき
会議に出席しているとき
雑談をしているとき

わたしたちは恐らく全員、

この人、気が利かないなーとか
荷物の角がわたしの足に当たってんだよなとか
スマホばっか見てんじゃねーよとか
もうちょい左寄ってくれないかなとか
この場でこんな発言しちゃうなんてとか
いや、声デカすぎるだろとか

そんなことを思っています。

そのどれもが正解で
たぶん、誰かにとっては不正解なのです。

ときどき、個人で得られる権益はぜーんぶ手にしているようなおじさまが「家ではカミサンが実権を握っているから肩身が狭くてサ」とか被害者ぶっているのを耳にすると、でもそのカミサンは専業主婦で、いざ離婚ということになったとき、社会的地位も評価も職務経歴も手にしていて路頭に迷いにくいのはあなたの方なのでは?どこが被害者?と真顔になってしまいます。

でもたぶん、その人にとって「家族の為に頑張ってるのに家では精一杯気を遣っているかわいそうな自分」という認識に嘘はないのでしょう。

この人、何でこんなことも分からないんだろう、冷静になって考えれば理解できるだろうに、と思うことは多々あります。

でも、そう思っているわたしもきっと誰かに、この人、何でこんなことも分からないんだろう、冷静になって考えれば理解できるだろうに、と思われているのだろうな、と思うのです。

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