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イモムシ

寒くなってきましたので、
毎晩、恒例のように、
僕は布団でイモムシになるわけでございますが、
彼女はまだそこまで寒さを感じていないらしく、
イモムシな僕の側で、
ガウンを羽織って動画を見たりして、
笑い声をあげながら、
楽しそうな夜の時間を過ごしておられます。
動画から流れてきます英語は、
気をつけて聞き取ろうしないと、
聞き取れない僕でございますので、
なにやら面白そうだぞ、
と、彼女の大きな笑い声が聞こえてきた場合は、
こっそり耳をそちらに向けておりますときもしばしばでございます。
途中から参加しましても、
そのおかしみに近づけるはずもなく、
すぐにまた聞き取ろうという努力はやめてしまいますことも、
それは当然しばしばでございますが。
なにはともあれ、
イモムシな僕はぬくぬくと夜時間を楽しんでいるのですが、
kittyはそんな僕を不思議に思うのか、
みゃっ
小さく鳴いて、
僕を見つめてきます。
僕は、同様に、小さく、
みゃっ
返しますと、また、
みゃっ
鳴いて、
ぐんぐんと僕の顔に近づいてきます。
大きく目を見開いて。
ですから、
僕はkittyの鼻に触れようと、
イモムシをやめて手を伸ばすのですが、
それは別にいらない
冷たくそう言っていそうに、
そそくさと部屋の隅っこに帰っていきます。
これもまた恒例でございまして、
彼女は動画を止めて、
逃げていったkittyと、
置き去りを食らった僕を、
交互に眺めながら、
boys
と、にんまりとした表情を向けてきます。
This is our relationship
と、僕たちは再びイモムシに戻って主張するのですが、
Foolish boys
なんて一蹴されまして、
なす術もなく、
すぐさま彼女に動画の続きを見るよう促すわけでございます。
この冬の間に、
kittyがイモムシな僕を受け入れてくれて、
一緒にイモムシなってくれることを願ってやみません。
どうか、どうかこちらへkittyさん。

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