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夜中の攻防

夜中の攻防、ブランケットの取り合いは、
ひんやりとした夜気への抵抗から勃発しておりまして、
大抵は夢の中で行われております。
彼女も僕も、
隣にいる彼女(僕)に風邪を引かせてやろう
そんな悪意を持ってブランケットを引っ張っているわけではなく、
ひたすらに寒さを感じて、
無意識に引っ張ってしまっているわけでございます。
朝起きて、
ごめん
そう思うことはしばしばでございます。
僕も寝返りを打つことは当然あるでしょうが、
夜中、トイレに起きて、
眠りに戻るまでの少しの間に、
彼女は数えれば両手に達してしまいそうなくらいに、
頻繁に寝返りを打っております。
身体に良く、健康的でありますので、
僕はそれに関しては、
うんうん
なんて少しばかりの保護者目線でもって、
その姿を感じているわけではありますが、
一つ問題がございまして、
それが、寝返りと同時に、
ブランケットも豪快に巻き込んでいってしまうことでございます。
僕のほうへ向く場合、
ブランケットはたるみを有するほどに、
僕の元へやって来てくれるのですが、
僕に背中を向ける場合、
半身が夜気に曝されてしまうほどに、
僕の元から去って行ってしまいます。
ですから、
去って行ってしまった場合は、
彼女を起こさないように、
くいくいと綱引きをするかのように、
少しずつ、でも着実に、
こちら側へ手繰り寄せていきます。
ですが、
このときにいつも、
彼女の寝返りの力の強さに驚嘆しておりまして、
というのも、
僕たちの足元付近のブランケットの上には、
kittyがいつも眠っておりまして、
単に僕たちの上に被さっているブランケットを巻き込んでいくだけではなく、
およそ六キロのkittyの重みがプラスされたブランケットを、
ひょいと巻き込んでいってしまうからでございます。
綱引きと表現いたしましたのも、
その重みがあるからでございまして、
眠っている彼女、kittyを起こさないようにブランケットをこちら側に手繰り寄せるには、
じわりじわりと長期戦に挑まないといけないのでございます。
冷え性であり、腹痛がきやすい体質の僕は、
足先、お腹への「暖」は、
カロリーと同等に必要不可欠でございますので、
どれだけ眠かろうが、
長期戦を放棄するわけにはいかないわけでございます。
このようなことは、
僕が眠っている間にも起きているようでございまして、
そこまで豪快に巻き込んでいかなくとも、
ブランケットに完全に包まれている感覚が削がれてしまうようで、
彼女はぐいっと引き戻すそうでございます。
一引きで。
僕はそれで起きたことはありませんので、
彼女は相当な手練れなのでしょう。
尊敬しております。
稀に僕はkittyを刺激してしまい、
ぐぅー
と鳴かせてしまうときもございます。
この冬は、
僕も夜中の鍛錬を欠かさず、
彼女の持つテクニックと同等のものを手に入れたいと思います。
その前に、
少し大きめのブランケットを買いなさい、
そういうことなのではありますが。

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