【小説】遠ざけて遠くに眠る
例えばちらと見えた寂れ色褪せたコーンのような、触れれば小さな亀裂からほろほろと崩れてゆくような、それでもいつかまた触れられるそのときを待ちわびているような、そんなかわききった油絵の割れのようなものを、指紋と指紋をこすり合わせるようにたっぷりと時間をかけてなでてほしい、とそんなことを思うけれど、私の心はそう長いあいだ放置されていたわけではないし、そのせいでかわききっているということも、だからないとも思う。そうかと思えば、どうして私の心はかわきひび割れそうにもろい状態にあると感