あなたは夜の水棲生物

深い青さのその下から
あなたがわたしを仰ぎ見るから
わたしは飛沫を立てないように
するりと手を差し出すの

揺らいで見えたあなたの顔が
わたしの知らない顔に見えたから
わたしは視線がぶれないように
そうっと水面に溶け込むの

それでも少しは知っているんでしょう
知ったような口ぶりで
得意げになるあなたの顔を

それでも少しは知っているんでしょう
知ったような口ぶりで
張りがなくなるあなたの顔を

わたしはあなたの頬に触れたい
たったそれだけ

あなたは夜の水棲生物

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