見出し画像

音楽のチカラを感じた日

大好きな人が病気になった。
身体に大きな負担がかかる治療をする。

仕事中にLINEが来てそれを知った。
大丈夫なのか、これからどうなるのか、
ザワザワといろんな思いが頭の中をグルグル巡る。

気持ちの切り替えができぬまま終業時間になった。
そのまま帰る気になれなくて、車を走らせた。
ただぐるぐると走らせた。

ラジオをつけると森山直太朗の曲が流れてきた。
静かに始まるその歌は、夏の終わりを告げていた。
先程までぐるぐると昂っていた思考が、直太朗の澄んだ歌声で鎮まっていく。
走る窓の外、オレンジの空が濃紺へと変化していく。
夏の終わりの余韻を残して曲が終わった。
でもまだその声が聞きたくて、サブスクで検索し目についたタイトルをタップした。

愛し君へ。
深い喪失を歌った曲だった。
歌詞は聞き取れなくても、その声、その曲がもつ波動というかバイブスが心の奥にしみこんでくる。
涙がぐっと込み上げてきた。

フロントガラスの向こうに濃紺の空。
その先にオレンジの光が見えた。

そうだ、
先のことはわからない。
夏が終わっても、
秋が来る。
先のことはわからない。
今のことを、
そして、
明日のことだけを考えよう。
オレンジの光はまた東の空から登ってくる。

そう気持ちに区切りをつけ、家に帰った。
音楽がそうさせてくれた。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?