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賃貸か持ち家か?答えは自分の中にある

東京23区の新築マンション価格の平均が1億円を超えている。

億ションといえば超セレブの住む広大な専有面積を誇るすごいやつ、というイメージだが、今の東京の億ションはそこまで広くなかったりする。

「え、この広さでこの値段で売れるのかな?」と思って見ていると、販売開始と同時に完売。

へぇ〜そうなんだ。。。


借りられることと返せること


パワーカップルがペアローンを組んで、都内の億ションを買うという。
年収が二人合わせて1500万円を超えるくらいだと、5000万円ずつ合計1億円借りられるらしい。

かなり低い変動金利で計算すれば確かにそうだけど。

いや〜怖すぎる、、、。

不動産屋さんは親切に色々やっても、物件が売れなければ1円にもならない。
だからとにかく成約したい。
成約すれば、物件価格の3% + 6万円の手数料が入る。
(物件価格1億円なら手数料は306万円)

そのためにネガティブな情報は伝えず、いいことばかり言うこともある。

銀行の審査に通ったということは、自分はお金を借りても大丈夫と思っている人がいるが、それは大きな間違いだ。

銀行は担保をとってお金を貸しているので、もしお金が返ってこなければ担保物件を差し押さえて売却すればいい。

お金を借りた人のその後の人生なんてどうでもいい。

医師など属性の高い人は審査に通りやすいので、一時期医師の不動産投資が流行った。

その後、多額の負債を抱えて自己破産する医師が増えてニュースになっていた。

属性も年収も高いはずの医師がなぜ自己破産したか。

それは不動産業者に言われるがままに、無理な借入を繰り返したためだ。

医師なら銀行の審査は通る。

審査が通るからといって返せるわけではない。

パワーカップルも同じだ。

借りられることと返せることは別の問題だということを肝に銘じて、業者の言いなりにならないでほしい。

借入額は、無理なく返済できる金額から算出するべきだろう。

それにペアローンは問題がある。

13年間の住宅ローン控除は二人とも受けられるが、不幸にもどちらかが亡くなってしまった場合、団体信用保険は半分しか適用されないため一人分のローンは丸々残ってしまう。

仮に夫(または妻)に先立たれた場合、妻(または夫)は子供とローンを抱えて孤軍奮闘しなければならなくなる。

また夫婦のどちらかが仕事をやめるなどした場合、返済が厳しくなる。

他には夫婦関係が続かなくなった時などのリスクもある。

価格高騰のワケ


普通に考えて、現在の東京のマンション価格は異常だと思う。

業者は今後も上がり続けると言っている人もいるが、本当にそうだろうか。

23区内のマンション価格が急上昇したのは、2022年から2023年にかけてだ。

この時期は急激に円安が進んだタイミングと重なる。
2021年10月に1ドル113円だったが、2022年10月には1ドル148円まで円安が進んだ。

たった1年で35円の円安。

「海外旅行した時、その国の物価が安くてつい爆買いしてしまった」という話は聞いたことがあると思うが、それが東京の不動産で起きている。

外国人投資家からしたら、全品3割引大セール中の日本。

大量のキャッシュを持っている外国人投資家たちは、現金で東京のマンションをどんどん買った。

そりゃ東京のマンション価格が上がるわけだ。

普通に住宅ローンを組んで住むためのマンションを買った場合、そう簡単に売ることはできない。

外国人投資家はそもそも投資物件として購入しているので、価格下落の兆候が見えてきたら簡単に売却し、次の投資先に資金を移す。

彼らが揃って資金を引き上げた時には、マンション価格は大暴落するのではないだろうか。

外国人投資家が釣り上げた価格で住宅ローンを組んでマンションを買った日本人は、価格の下がったマンションに住み続けながら、多額のローンを返済し続けなければならなくなる。


価値観を見つめる


日本の空家はついに900万戸になってしまった。

空家というと親が住んでいた古家のイメージだが、意外にも900万戸のうち半分はの450万戸は賃貸物件だ。

それなのに毎年30万戸の新築賃貸物件が建築されている。

この原因の一つに、富裕層が相続対策で賃貸不動産を建てるというスキームがある。

簡単にいうと、賃貸不動産が建っている土地は評価額が下がるので、賃貸不動産にすれば相続税額が減るというもの。

富裕層は現金のままだと相続税で半分以上税金になってしまうので、土地を買って賃貸物件を建てて節税する。

この節税だけのせいではないが、ただでさえ余っている賃貸不動産が毎年増え続けている。

タワーマンション節税も一時期流行ったが、税法改正で旨みがなくなった。
(物件価格が高く相続税評価額がかなり低かったので、相続直前にタワマンを買って相続税額を減らすという手法)

そのうち賃貸不動産の節税も税法改正されるかもしれないが、今のところそういう法律になっている。

日本の人口は確実に減り続けている。

厚労省による人口予測数値は、2020年の1億2615万人から2070年には8700万人に減ると発表している。

しかし出生数は予想数値を下回り、死亡者数は過去最高を毎年更新している。

将来の人口は予測よりずっと早く減る可能性がある。

そうなると賃貸物件が今よりも大量に余り、家が借りやすい時代になるかもしれない。

第二次世界大戦後の高度経済成長時代は、人口と給料が増え続け、土地の価格は絶対に下がらないという土地神話があった。

住宅ローンを組んで家を買えば、地価が確実に上がっていき、払ったローン総額より価値のあるマイホームを手にすることができた。

全てが右肩上がりの時代の、勝ちパターン。

現在は人による。

たまたまラッキーな人が、『いい時』に『いい場所』にある『いい物件』を買っていい時に売却して、儲かったと大きな声で言っている。

『時、場所、物件』どれか一つでも違えば大損になるかもしれない、これはギャンブルのようなもの。

そもそも自分が住む家で儲けようと考えて、ギャンブルに全財産を注ぎ込むような事は、カタギの会社員のすることではない。

家は嗜好品と考えるべきだ。

どんなに高くても自分にとっては価値のあるものなら、その値段が下がっても問題はないだろう。

だけど、親世代はこういう感覚はない。

「家を建ててこそ一人前の大人だ」なんて言う年寄りもいる。

もうそんな黄金期は終わったのに。

賃貸か持ち家か、今の時代は人それぞれ。

答えは自分の中にある。

家はその人の生き方を表す。

「たとえローン返済が大変でも自分名義の家を建てたい、それが人生の優先順位第1位だ」という人は持ち家が正解だろう。

「子供の教育だけはきちんとやってあげたい、子供に不自由な思いをさせたくない」それが優先順位第1位というのなら、とりあえず持ち家の話は後回しになるかも。

価値観は一人一人違う。

土地に縛られたくない、自由が好き
地元の人間関係を築いて一生同じところで暮らしたい
借金返済という義務を背負いこみたくない
家族が自分の優先順位第1位、自分の希望より家族の希望を優先したい
趣味にお金を使いたい
etc...

自分がどうやって生きていきたいのか、自分の価値観と向き合って、人生の優先順位をハッキリさせる。

今は生き方も多様だ。

他人(友達や両親、不動産屋など)の価値観に惑わされず、自分自身をみつめること。

そうすれば自ずと答えは出てくると思う。

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