見出し画像

不便なカメラ、Leica M10-P

2019年11月くらいに買ったLeica M10-P。どんなカメラか詳細やレビューは他サイトにたくさんあるので、ここでは多くは語らない。実際使ってみて気になったところに絞って書いてみようと思う。

他サイトの情報は数多くあれど、例えば下記参照。

ライカM10-P // ライカMシステム // フォトグラフィー - Leica Camera AG
写真で見るライカM10-P - デジカメ Watch
[PY] フォトヨドバシ LEICA M10-P 実写レビュー | photo.yodobashi.com |

AFがない!

やれ像面位相差だ!やれ測距点が693点だ!やれ瞳AFだ! なんて便利なものはない。そもそもライカM型のマウントには電子接点がない。

なに動物が撮りたい? 気合でピントリングを回すか置きピンしよう。

でもレンズに距離指標が書いてある。「F値に対してこのくらいの範囲の距離にピントがあいますよ」というのが、レンズを見るとだいたいわかるようになっている。なので慣れてくるとだいたいの距離感でピントリングを回して、ファインダーを覗いて二重像見ながら微調整してシャッターを切る、というプロセスがわりと高速にできて、このリズムが心地よくなってくる。とはいえ自分はまだまだ修行中の身だけど。

F1.4とかになるとピント面が薄くなるので、最短撮影距離とかだとレンジファインダーだとなかなか難しい。そういう場合は遠慮せずライブビューで液晶見ながら撮ればいい。デジタルテクノロジー万歳。

もともとSONY αを使っているとき、DMFモードでマニュアルでピントを詰めたり、そもそもMFレンズ使ったりしていたので、AFがない不便さはそれほど感じたことはない。感じるのは動き回る動物などを撮るときで、そういう場合はα使えばいいかなぁ。

シャッタースピード優先モードがない!

絞りは手動しかない。しかしAモードは使える。それで十分。そうでしょう?

手ブレ補正がない!

5軸手ブレ補正で何段分は明るさ稼げる! みたいな便利なものはない。脇を締めて、息を潜めて、静かに素早くシャッターを切るのだ。

最近モノクロで撮ることが増えたせいか、これもあまり気にならない。カラーだとしても当然ながら感度を上げれば高速にシャッターは切れるし、あまりに酷いノイズでなければ逆に粒状感が良い感じになることすらある。

サイレントシャッターがない!

静かなコンサートホールでもシャッター切れるすげー! みたいな無音シャッターはない。

M10ではなくM10-Pを選んだのはこのせい。αのサイレントシャッターは素晴らしくて、どこでも気にせず臆することなくシャッターが切れる(公序良俗は守りましょう)。これに慣れていたせいかM10のシャッター音が大きく聞こえてしまって気に入ることができなくて、素晴らしく静かなM10-Pを選んだ次第。赤いライカロゴが前面になかったりとカメラという存在感をなるべく消そうとするこの製品のアプローチが好き。スナップ撮影は目立たないほうがいい。

レンズラインナップに望遠やマクロが乏しい!

望遠はあっても135mmくらいまで。マクロはあってもハーフマクロ(たぶん)。

どうせ超望遠なんてレンジファインダーでピント合わせられるわけがない。マクロもしかり。使いやすい画角で頑張ろう。

そういう写真を撮りたいときは一眼レフやミラーレス一眼の出番だ。

動画が撮れない!

4k30pがLogで撮れまっせ! そんなものはない、写真を撮ろう。

あ、でも動画もちょっとやってみたくてRX100M5買いました。

バリアングル液晶やチルト液晶がない!

ローアングルやハイアングルで撮りたい! なんとしてでもファインダーを覗くか液晶を見るしかない。

これはまぁ……あると便利な場面はあるだろうなー。

コンパクトだけど重い!

金属とガラスの固まりである。重い。外装の一部は真鍮だし。ただし小さいのが正義なのだ。鞄に入りやすいし、首から下げても存在感が小さい。本体もそうだけどライカはレンズも小さい。50mmでF1.4なんてスペックでこんなに小さいレンズ他社には無いと思う(AFはついてないが)。街中で、ちょっと絞って、小さくて目立たないM10-Pを構えて、サッと撮ってサッと去る。逆に開放でじっくりとピントを追い込んで撮ることもやろうと思えばできる。持ち歩きたくなるのだ(重いから肩はこるけどw)。

そんなこんなで不便だけど便利なカメラ

確かに昨今のデジタルカメラに比べたら不便なカメラである。でもその操作性は60年以上受け継がれてきた完成度の高いもので、そこにデジタルのエッセンスがとてもよく混ざり、これまでの伝統的な操作性を損なうこと無くシンプルなままだ。ボタンの少なさは驚異的で(前モデルのM9よりも減っている)、それでいて不便さ感じることもほとんどなく、本当に買ったその日のうちに普通に使えるカメラになった。

画像1

画像2

キヤノンのEOS-1D X Mark IIIとLeica M10-Pの背面比較。目的も思想も違うカメラなのでどちらが良い悪いとか優れている劣っているというものではない。とはいえ、最新式フラグシップの一眼レフカメラと比較すると、その差は歴然。

あれこれカスタマイズして自分好みに育てるインターフェースも好きだが、「こう使いなさい」とシンプルに提案してくれるインターフェースも好き。合う合わないがあると思うけれど、合ったときの快適さは格別。

あれこれ書いたけれど、結局は、生み出される写真の絵作りが最も大切。

M10-Pを使っていると、カラーもモノクロもJPEGデータを見るとハッとさせられる写真が撮れることがある。その驚き・感動は何もと形容し難い体験でこれまで使ったことがあるカメラでは体験したことがない。

「どうせブランド品でしょう? 性能的には他社のカメラの方がすごいじゃん。値段も全然違うし」と思っていた時期が私にもありました。

このあたりの良さをきちんと言語化できるときが来るだろうか……。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?