シナリオの都合への帰還

少し前からブチギレている作品ですが
シロナガス島への帰還です。

プレイ完了しましたので、もう良いかなと思い筆を取りました。今はEXTRAシナリオ流しながらこの文章を書いてます。


合わなかった部分

まずどうしても個人的に合わなかった部分を紹介しておきます。これは個人的に評価に含めていますが人によっては分かれるところか
逆に言えばこの要素を抜いた上でもキレているという訳です。

まず第一に
正直、00年代のエロゲみたいなノリのギャグをお出しされると辛いものがありました。
ちなみにどんなノリかといいますと、頭の中お花畑スイーツレディを出され「痛すぎて見てられない」みたいな感じです。
無論、シナリオには上記みたいな方は登場しないですが「痛すぎて見てられない」という表現は多々あります。

第二
会話のテンポが悪い。
色んな場所でテンポが良いという評価が散見されましたが、ヒロイン(ねねこ)がコミュ症なので吃り何度も出してしまいお世辞にも会話のテンポが良いとは言えず、終盤まで会話の遅さに若干イライラしてました。

シナリオの方ではと思うかもしれませんが
「あ!なるほど。あ!なるほど。あ!なるほど!」
といったような納得の連続は正直なく、「えぇ。なぜその行為を?」と言いたくなるような話の展開ですし、終盤は「悠長に会話で解説してるなぁ」と言った部分が2か所もあります。
これをテンポが良いと評価しているなら私は黙ります。
正直、話がコンパクトにまとめられていてプレイ時間が短いためにテンポが良いと錯覚しているだけではないかなと考えてます。

以上の上記の2点は私には合いませんでした。
逆に言えば人によっては評価できる可能性がある部分です。
ちなみにキャラの姿、喋り方等は評価に入れてません。
絵が好みではないとか、男装で評価が上がったり下がったりしているわけではないという事です。
(ねね子で評価が落ちているのは、あくまで「メインキャラなのに吃り持ちであり、それにより全体的に会話のテンポが落ちている」という部分でマイナス評価をしています)(私個人としては陰キャ自体は嫌いではないです)

評価できなかった部分(ネタバレあり)

まず全体的に「シナリオの都合でキャラが動いている」感が強いです。
もっと正確に言うと「動機が薄い」です。
「いや、待て待て動機はしっかりしているだろう」
とツッコミしたくなりますが、私が言いたいのは『犯行の動機』ではなく『手段の動機』です。

ここでひとつ例を紹介します。
1.犯人が密室を作りたがるのか?→自殺に見せかけるため
2.犯人は何故トリック殺人を行うのか?→アリバイを作るため
3.なぜ犯人は主人公を倉庫の一室に閉じ込めるのか→罪を着せるため、事件を追わせないようにするため

等々、手段に対して理由が必要だと思うですがそれが薄いといった感じです。
この話の前提として
屋敷側と復讐者側の目的を解説しておきます。難しくないので安心してください。
屋敷側:不死身に至るための情報を開示するための秘密コードを招待客から探している。復讐者側とは復習をやり遂げたら秘密コードを渡すと約束している。
復讐者側:復讐に加えて、施設のすべてを破壊しようとしている。秘密コードはハナから渡す気はない。
という前提だけでOKです。


そして作中で起きた事件・謎としては
・レイモンドが惨殺される
・トマスが焼死体になる
・池田が銃で撃たれる
・壁に血の手を付ける
・毒蛇を投げ込まれる
・池田が捕まる(神経ガスで眠らされる)
・ウィザードの正体
ざっと考えるだけで、これだけ出てます。

トマスに関しては自身が受けた『遊び』の意趣返しで同じように殺したかった
ウィザードは事情持ちで最後まで正体を隠したかったとか
等、理由はわかりますし、その手段を用いたのはわかります。(トマス殺害のトリックは後でツッコミます)

ですがそれ以外の事件に関しては少々違和感が残ります。

方法の動機不足

1.レイモンドの惨殺


簡単にトリックを説明するとミステリー物でよくある窓からロープを垂らして下の階に降りるというトリックなのですが、
よく考えなくても人に見られると言うリスク、ミスしたら即死(窓の外は断崖絶壁)の場所を身体能力が高いので突破できましたという。伏線もなにもないトリックです。
ただここまででしたら私もよくあるトリックなので許してました。

しかし

この復讐者には人を二人抱えた上でその断崖絶壁を自由に移動できる万能生命体アウロラ(以下生物兵器)を使役することができます。
なぜそれを使えるのに使わなかった?という疑問は一切説明がありません

この程度のガバガバっぷりななら、これならどんな手段を用いても構わないと思いますし、なぜ変なトリックを使ってまで1階の部屋まで呼んでそこで拷問まがいなことをしているのか……(実際ねね子にロープを張っている所を見られている)
となってしまいました。

私としては
生物兵器がレイモンド卿を連れさり、その後レイモンド卿は拷問されて発見された。しかし拷問跡はレイモンド卿を軽々と連れ去った生物にしては違和感のある刺し傷があり……つまりレイモンド卿は連れされた後『人の手』によって殺されたんだ!!

としたほうがまだ自然に感じますし、謎の生物兵器を操れる人物の伏線も張れますし、トマスは何故違う方法で殺されたのか等、色々な疑問や回答に繋がっていたと思います。


2.池田が銃で撃たれる事件


登場人物のトマスが焼死体になり、その夜主人公池田が夜に呼び出しを貰いその場所で遠くから狙撃を受けるという事件です。

この事件、まさか本編で誰が何のためにやったのか明かされませんでした。
ウッソだろお前!
………失礼、つい語録が出てしまいました。

犯人はこの際どうでもいいとして
遠くから暗視スコープ使って銃撃するのは構わないのですが、全く当たらないのです。(ルートによっては当たるが正規では何発撃たれても当たらない)
射撃に自信が無いのに何故遠くから撃ったのか……

この場合殺すつもりなら
主人公を呼び出して、正々堂々現れた後ちょっと油断させた隙に至近距離で銃を打つとかすれば確実ですし

もし脅すのが目的ならば
定番である後ろから銃で脅して「これ以上詮索するな…」と言って再び闇夜に消えるとかでも全然OKだったと思いますし、
そもそも人に見られたくなければ血の付いたメッセージを送って脅せばよかった気がします。

そもそも屋敷側・復讐者側双方、あまり無関係者を殺す理由が無いのです。
屋敷側は殺した相手が秘密コードを持っていたらおじゃん
復讐者側は居ても居なくてもいいが、いい感じの弾除けになる。
と言う状態です。何故こんなことを……

3.壁に血の手を付ける


昨日の事件から夜が明けて客室通路に血の手跡ができているシーンです。摩訶不思議が許される純ホラーなら許されますがこれは腐ってもミステリーです。何か理由があるのでしょう。(まあなにもないのですが)
これはおそらく生物兵器の物ですが、血を付けた生物兵器がノコノコと主人公が寝ている客室廊下を歩いていると言うことです。よくわからない。

これも本編で誰が何のためにやったのか明かされませんでした。
お前もか……
単なるドッキリ要素のためなのでしょう。
有名な『今夜12時誰かが死ぬ』みたいなもんでしょうが、なにかのメッセージ性があるわけでもなく何か別のトリックに繋がる訳でも無いです。そして、プレイヤーへの挑戦状という訳でも無いです。かろうじてネームド以外のモブが殺されているという描写に繋がりますがそれだけです。(そもそもモブが裏で殺されているという描写は結構あるので不要)

4.毒蛇を投げ込まれる


私の中でハットトリックを決めた事件です。
こちらも誰が何のためにやったのかわかりません。(1点目)

むしろ考えれば考えるほど犯人が誰も居なくなります。
屋敷側は『解除コード』と呼ばれる不老不死を手に入れる為のコードを求めており誰が持っているのかわからない状況で人を殺すような真似はしないと思いますし、
復讐者側もレイモンド卿が飼っていたヘビをわざわざ取り出し来て部屋に放り込む必要があります。
そもそも、本気で殺すつもりなら毒ガスで良いと思いますし、そういう物も確実にある描写があります。(池田を眠らせた神経ガスがあるくらいですから……)
それを屋敷側も復讐者側も使わないのは疑問が残ります。

そして、ここで登場人物の一人が噛まれるのですが、その解毒方法が
「主人公池田はこの毒蛇に3回噛まれており、体内に血清ができておりそれを使って解毒した」
です。流石に笑いました。(2点目)
しかも、この解毒イベントは時間制限付きでプレイヤーは焦りつつも懸命に血清を探します。
そしてお出しされるコレ(3点目)

無事ハットトリックを決められました。
まだ適当な理由をつけて血清があるとしたほうが納得できたでしょう。

元々単なる脅し目的なら無毒なヘビを入れれば良いですし、もし仮にねね子が「毒蛇ではない」と看破して結果的に笑い話で終わっても
「今度は本物を入れられるかも」「次は本当に殺されるかも」というのを主人公達とプレイヤーに思って貰えればいいのです。それが目的なのですから

5.池田が捕まる(神経ガスで眠らされる)


これはある程度目的と手段が合致しているのであまりツッコミ所が無いのですが、記憶を覗き見るためになんでわざわざこんな回りくどい確保方法を……?みたいな気持ちはあります。

それとは別にこのシーン、プレイヤーにノーヒントで問題を出してきます。問題に正解すると何故それが正解だったのか解説してくれますが初見ではわかりません。その解説か伏線を予め教えて欲しかったです。

その他、ツッコミどころとしましては命が狙われているであろうと察している復讐対象の一人は犯人が女だとわかっており、犯人ではないと確信できる池田から離れようとします。……なぜ?
等々ありますが今となってはこの程度些細な物でしょう。

トマス殺害のトリック編

理由不明な焼死体のトリック、意味深に繰り返し語られる扉を開けるハンドル
色々と考えていたのですが、その回答は
通路に火の着いたアルコールが撒かれており、それに引火して死んだ』
です。
火が見えるだろ→時間は昼間だったので火が見えなかった。
匂いで気づくだろ→説明なし

無論爆笑しました。
一緒にプレイしていた方が『ハンドルは高圧電流を流すことが可能で閉まっているor開いていることで遠隔で人を殺せる』
という考察が出たのですが、そちらのほうが何倍も面白いと思いましたし納得できました。

殺害トリック全部こんなんかよ!
……失礼本音が出てしまいました。
意趣返しなのでしょうが加害者の時とは状況が違いますし、普通気づくと思いますしなんだかなぁと言った感じであり、そもそもそれをやったのは別の人物です。殺された人はそれはそれで酷い人ではありましたが……

その他

シロナガス要素がそこまで重要じゃない。
あれだけシロナガス、シロナガス言っておいて最後の表現にちょこっと出ただけという。

そして結末へ……

こういった経緯があり
その後、よくある展開で犯人が判明してよくある展開で不死身化した人をよくある展開で倒すのですが
「うん、まあ、ここは注文していた牛丼」
みたいな感じであまり乗り気になれずそのままのテンションで話が終わってしまいました。

私は最初から牛丼が食べたかった……

以下戯言

一人の創作者としての考え

TRPGのシナリオ書いたりする身としては殺害トリックだけがミステリーの本質ではないと私は思っています。
読者(プレイヤー)の感じる謎の数だけミステリーがあり、それに対し想像やある程度の納得の行く回答が必要であると私は思っています

正直……ハッキリ言うとギャグじゃないのだから『何故そうしたのか』かがわからないような行動を主要キャラにやらせるなという話なだけです。

嫉妬的な面

個人的な部分です。
一人の創作者として嫉妬にも似たようなものです。
設定周りと声優関連が良いのに、これを作るのかという怒りが一つ
みんなみんな、「面白い面白い」言っているのに対し得も言われぬ感情を一つといった感じです

個人的に点数をつけるなら100点中30点くらいです。

最後に

私が饒舌になりnoteに5000字近く書くくらいには楽しめた作品でした。
そして同時に『手直ししたい』と思わせる初めての作品でした。
ここまで読んでくださった方も是非これをプレイしてみてください。私が歪んでいるだけで、みんながみんな『面白い』『面白い』と言っている作品なのできっと楽しめると思います。

では私が『手直しした作品を上げるまで』 
-We WILL cross paths-


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