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30年ぶりに日の目を見たパジャマ

私は実家暮らしなのだが、わが家は転勤族のわりに物が多い。

この前久しぶりにプチ引越しをした時、無限に箱詰めしなければいけない物が出てきて気が遠くなった。引越し当日、業者のお兄さんの目が死んでいるように見えたのはたぶん私の見間違いではなかっただろう。

家族全員あまりの物の多さにさすがにうんざりして断捨離チャレンジが始まったのだが、そこで現れたのが30年前に買ったというパジャマであった。


30年前のパジャマといっても、汚れひとつない新品だ。ちなみに見出し画像みたいなチェック柄。
聞けば母が結婚前に買ったけれど、生地感が気に入らなかったんだかサイズが合わなかったんだかでまったく着なかったらしい。
ここで驚くべきポイントは、着ることを諦めたパジャマを30年も(しかも住む場所を転々としながら!)捨てずにとっておいた母の物持ちの良さだ。いや、これは物持ちの良さではなく、箪笥の肥やし製造のプロとも言うべきか。

最初は「そんなのさっさと捨てなよ」と言いかけたのだが、このパジャマ、まあまあいいブランド物だったのである。
安いパジャマしか持っていなかった私は、即座に譲り受けることを決めた。
「母が昔着ていたものを娘も受け継いで…」みたいな美談に憧れていたのも理由の一つだ。
ただ、このパジャマの場合、母は一度袖を通しただけなのだけれど。


晴れて30年ぶりに誰かに着てもらえることになったパジャマだが、不思議なことにオーダーメイドのように私のサイズにぴったりだった。
断捨離もいいけれど、捨てられなかった物がまた役に立つこともあるんだなぁと思った。

とは言え、母には箪笥の肥やしを増産するクセを直してもらう必要があるだろう…。
今度は質のいいセーターが出てこないかなぁという願望をここに記しておく。

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