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アンダー・ゼア・サム

「従僕の目に英雄なし」
という言葉があります。

どんなにすごい英雄でも
そばに使えてる者の目から見ると
偉大な人物には見えてこない
欠点が目についてしまい
つまらない人物に見えてしまうということです。

例えば、優秀で評判の上司がいたとしても
一緒に働いてみると嫌な所が目についてしまい
尊敬できなくなるということはよくあることです。

あと従僕は従僕の目でしか英雄を見ないので
どんな人物でも平均的な人物にされてしまう
という意味もあるようです。

ビル・ジャーマン著「アンダー・ゼア・サム」は
ローリングストーンズのファンであり
そのミニコミの発行者でもあった著者による18年の記録です。

実は、ファンによる評伝ってあまり心が惹かれないんですよね。
今回、友達が強く薦めるので仕方なく読んだのですが
それが良い意味で期待を裏切られました。

間近で見たメンバーの素顔が生き生きと描かれていて
一気に読んでしまいました。

ストーンズファンならずとも
ロックファンなら手に取って損はありません。

ミックの素顔は良くも悪くもビジネスマンですね。
こういう人物がいてこそバンドが存続できたんでしょう。
大好きですが、一緒には働けないなと思いました。
まっ、そんなことないですけど。

キースとロン・ウッドは「めちゃくちゃいい人じゃん」です。
二人の優しさと人間味があふれています。

チャーリーは寡黙な印象です。

ローリングストーンズが
一つの企業体のようになっていく過程もわかって
興味深いです。

著者のミニコミは102号を最終号にして廃刊します。

推しとファンの近すぎるゆえの悲哀も感じました。

月は眺めるものかもしれません。



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