迷子

 私は昨日、敵を撃った。
 血飛沫がとても綺麗で胸躍った。
 反面、彼の服を漁ったとき、胸ポケットにあった写真はひどく私の胸を締め付けた。
 どうすればよかったのだろうか。
 彼だけに向けたはずの銃口は、彼の後ろ側にいる人間にも向けられていた。一人の向こう、何人もの人間、さらにその向こうの何人もの人間。
 連なって繋がって、そこで私は改めて気付いた。
 鉛の使い道はこれではないと。
 

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