シャバーサナ

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最近の記事

喪失

喪失、喪失、喪失。 失った。全て失った。 あの夏。いや、冬だったかもしれない。もう何年も過ぎてしまったから、発端はわからない。でも夏だったような気がする。 私が失ったのは気力である。私が失ったのは自分である。私が失ったのは生活である。 はじめの診察では適応障害だと告げられた。半年ほどで落ち着くとの医師の見立てだった。 半年経っても、一年経っても、私はよくならない。一向によくならない。それどころか私はどんどん仕事ができなくなった。 失われた気力は、戻ってこない。失われた自分は、

    • 小さい頃から老害だった話

      齢24、女。老害である。幼き頃から老害である。 【老害】自分が老いたのに気付かず(気に留めず)、周りの若者の活躍を妨げている害悪。 これだけじゃ私のどこが老害かは伝わらないだろうが、私は老害なんだ。小学2、3年の頃には、既にそうだったと思う。 理由1・私は正義感が強い。正しいことしか受け入れられない。周りが楽しく怒られない程度に遊んでいても、少しルールを逸脱していれば怒る。若者の楽しみを妨げる老害。 理由2・新しいものが受け入れられない。世の中には次々と新しいものが浮

      • 「生活」について思うこと

        「生とはなんだろうか」「死とはなんだろうか」「生活を営むとは、今の私の状態も当てはまるのだろうか」。日々考える果てのない問いである。私の敬愛する哲学者、三木清は生前こう書いている。「死は観念である(中略)生とは想像である、と私はいおうと思う。」死と比較して考えた時、どうしても生は想像的になってしまうと彼は行った。なるほど、死は確実にそこにある。ことが終わると「死」なのであるから、生よりずっと現実的だ。 しかし、こうかんがえてみることもできる。生は経験できる、つまり生こそ現実

        • うつ病と趣味:映画

          私は多趣味である。本、映画、パズル、音楽、ぬり絵、ナンプレ、など。しかしうつ病になってから、そのどれにも、集中して臨めなくなった。私は映画館でアルバイトをしていて、そこのスタッフは映画が無料で見られる。元気な時はバイト前やバイト後、休日でもバイト先に足が向いたし、1日で3本、連続して鑑賞することもあった。好きな映画は公開初日に休みをとったし、その映画が人気なら初回を待つ列にも並んだ。1ヶ月ほどで終了はしたが、毎週5本の映画をレンタルして観ていたこともあったし、その時期が過ぎ去

          掃き溜めから引き摺り出した希望

          死んだら海に行こう。自然にかえろう。まず汗だくで街を走り抜けて、それから白い砂浜をはだしで歩こう。明日目が覚めたら、まず最初に風が揺らす木々の囁きを聞きたい。覚めない夢ならいらない。現実があるから虚構はうつくしい。明日理想が死んだら、すべてを壊そう。すべて穏やかにゼロに戻そう。明日なんか来ないように。 ・人生最後のうた 終わるなら明日がいい。今じゃなくて明日が良い。明日は毎日私のラッキーデイだから。今日こんなに惨めなのは、明日がうつくしいからに決まっている。だから私の明日は

          掃き溜めから引き摺り出した希望

          過去の日記:2019.02.14

          春の終わり頃みたいな朝。空気は澄んで冷たいのに陽射しが緩やかに熱を与えてくる。例の大渋滞。普段と30分ほど時間がズレるだけでまたこんなにも混み合うのかと驚く。数年前から塾が抜けて最上階(恐らく大家の住居)だけ明かりがついていた建物の前に、大型のクレーンが停まっている。しっかり歩道にはみ出て駐車されたそれの横を、わくわくしながら通り過ぎる。普段見ることのできない回転する土台部分の中が見える。コードだらけで朝からテンションはまあ上がる。すてきだ。ホームまでエスカレーターで上がる。

          過去の日記:2019.02.14

          縞模様。

          しましまと言えば。誰がどう考えても満場一致だろう。「シマウマ」。駆け抜けるゼブラのストライプ〜♪のあれである。ところで、シマウマの縞は縦だろうか横だろうか。思い浮かべてみてほしい。大抵の人が胴体の部分を思い出して縦縞だと答えると思う。しかし実はそればっかりではないのだ。脚は横縞だし正面からみたご尊顔はもっと複雑な模様をしている。鼻筋に縦縞、人間の額にあたるであろう部分には最早縞模様と呼んでいいかもわからない怪奇な白黒が存在している。じっくりと見てみたらわかるのだが、あの動物、

          (プチ)世紀の発明

          私には欠点がある。多くある。が、そのうちのひとつが視力である。欠点であり、弱点である。非常に目が悪い。眼鏡がないと生活できないほどに悪い。原因は幼き日の私の困った生活習慣にあったと思う。それはなにか。読書である。ただの読書ではない。暗闇の中での読書である。私は非常に本が好き(と自分では思っているが本当の本好きには負けるかもしれない読書量ではあった)で、最近の若者にしては多くの本を購入してきた。下校中に読み、帰ってから食事までの間に読み、夜中、布団の中で読み。買った本はその日の

          (プチ)世紀の発明

          18:18

          どこかの国の海辺には、亀を地面から掴み上げ高いとこから落として捕食する鳥がいるらしい。硬くて厚い甲羅には歯が立たないので、それ故に空中まで攫い、険しい岩場に落とし中身を拝むという手法のようだ。この話を知った時私は、鳥にも質感がわかるのだなあと驚いた記憶がある。触れている、若しくは先祖がつついた経験があるであろう甲羅が硬いというだけならまだしも、それを凌ぐものを岩が持ち合わせていると悟るのはなかなか賢い。それと同じ原理で、岩だと思われて頭に亀を落とされた人がいたという話もついで