就業規則を見直すチャンス!分野別に解決策を考える〜その1

何年も前に作って壁にぶら下げてある就業規則を、実態に合った就業規則に見直したい

これ、小さな事業所で、特に大きな問題もなく過ごしている会社ではあるあるではないでしょうか⁈

昔勤めていた中小企業では、就業規則はあるものの、中身がどう考えても実態と一致していませんでした。

例えば、賃金規定はあるものの、給与明細の手当名称と同じ名称の手当が就業規則にのっていなかったり、雇用契約書に記載された手当が就業規則にないこともありました。

また、手当の内容も大切で、内容によって割増賃金の計算において分子に算入すべきものかどうか判断しなければなりません。

さらに、就業規則に定める会社の休日は日祝、会社の定める日としてあるのに、実態は土日祝、会社の定める日に休んでいたりします。

これは、何が問題なのでしょうか。

就業規則のことなんか誰も気にしていないのです。就業規則を手に取ることもありません。

平常時には問題は起こりません。ただ、誰かが退職後に内容証明が届きました。そう、未払残業代の請求です。慌てますよね。事務所は大騒ぎです。
たまたま顧問弁護士がいたので連絡をとっていたのを記憶しています。

正しい残業代計算をしている自信ありますか?

割増賃金の計算をするとき、固定的賃金の1時間あたりの単価に、割増率をかけて残業代の計算をします。では、この1時間あたりの単価はどのように求めると思いますか?

●時給の場合、時給そのもの
●日給の場合、日給を1日当たり所定労働時間で除すと求められます。
●月給の場合、①その月の所定労働日数から求めるか、②月平均所定労働時間で求めるか決める必要があります。

①の場合、毎月単価が変わることになります。
 労働義務のある日数(休日出勤除く)に、所定労働時間を掛けた時間で除すと、1時間あたりの単価を求めることができます。

②の場合、会社の休日がはっきりしないと計算できません。例えば、会社の出勤日カレンダーを作っているなら、その労働義務のある日に所定労働時間を掛けて12で除すと、月平均所定労働時間を求めることができます。
カレンダーがない場合、この機会に確定することをおすすめします。会社は、労働者に残業させるために36協定を締結して届出ていると思います。その36協定の期間の1年間で、労働義務のある日を求める、もしくは、実績(昨年1年間の労働義務のあった日)をもとに月平常所定労働時間を求めることもできます。

しかし、ここまで決めたことを、運用ルールとして使うだけでは改善がありません。
壁にぶら下げてある就業規則の内容を整理して、実態に合わせて改訂を届出るのです。

ついでに、代休、振替休日制度を盛り込んだり、遅刻早退、欠勤控除の計算方法を整備して、計算結果の端数処理についても定めることで、より正しく給与計算ができるようになります。

就業規則の変更を届け出る前に、変更箇所について従業員に周知する作業が必要です。

変更に至った理由や、その変更内容を説明して、従業員代表を募り、変更について意見書をつけて労働基準監督署に届出ます。(就業規則の改訂作業に携わった人が代表になるのは望ましくありません。また、会社が指定する人を労働者代表にするのも良くないです。挙手に拠り選出する必要がありますので、挙手を募って誰もいなければお願いしても良いか打診しておくことは可能です)

まとめ

このような就業規則の改訂手続きを初めて実施する時は、とても負担に感じることと思います。しかし、毎年見直しを行い、恒例行事のようにしてしまえば、従業員側も会社のルールBookに興味をもち、働くことに対する意識も高くなるかもしれません。
就業規則を作るだけでは意味がありませんが、作った就業規則を運用して、労使がより良い会社を作る共同体になることができれば、定着率が上がる期待が持てると思います。
検索すれば、答えが何パターンも出てくる時代です。疑心暗鬼になる労働者を生み出さないためにも、就業規則をどんどん活用して、労使の意見交換を活発にして、信頼関係を高めていけるといいですね。

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