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【小説30】勘違い女神の弊害(異世界転生したオレはスキル<コピペ>で人生を謳歌する)

30   真夜中の訪問者


  俺はクロを影に潜らせ<透明化>して沼地のような場所で待っているとラスボスがやって来た。

(竜人? でかい・・・)

5メートルはある。全身硬い銀鱗に包まれ手には大きな槍を持ち、急に俺の気配が消えたのでキョロキョロしながら歩いている。
ブラックドラゴンと対峙したからなのか、俺はラスボス全然怖くない。
「チェンジ リーファス<神の審判>」
(HPを50%以上削る レベルによってダメージが変わる)

白い閃光にラスボスは包まれて5秒ほど痺れていた。

「<base ><コピー>」

ドラゴニュート
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー---
Lv.900 (HP 17000 MP 5000)

<全属性耐性><凶化>
<精神身体異常無効><威嚇><ブレス><ドレイン>
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー---
<ドレイン>されると面倒だ。さっさと倒そう。

「あ!」

影からクロがドラゴニュートに飛びつく。「ちょ、ちょっとまって」
<モグモグ>が始まった。「クロ 魔石残して」
レベルが上がって<モグモグ>タイムも短くなっている。 
「けぷっ」ラスボスは魔石もろとも飲み込まれてしまった。
あっけない最後だった。

魔石は惜しいけど。ま、いいさ。いつかきっと立派な【ダンジョンマスター☆スライム王】になってくれるだろう。魔石なんて安いもんさ。

ドラゴニュートが倒されるとその場に峡谷ダンジョンのコアが現れた。

「寿命を減らしたくないから撤退するよ。マスターによろしくね。」コアからの返事はない。

コアにそっと手を触れると俺はダンジョンの外に送り出された。

「ガーディアンも倒したし、きっと魔物があふれ出すことは無いだろう。」

10層の大きなダンジョンだ きっとうちのコアもこういうダンジョンを作成したいのだろうな。

ダニーが戻るまでまだ少し時間がありそうだ。俺はログインしてホテルの様子を見に行った。

「立派なホテルだな。」
ログハウスの隣に3階建ての白亜のホテルが建っていた。

「今回も オマケ情報 付きましタ。」 「へぇ、なんだろ?」

「ドワーフの町 渡り人2名。」
「サラ達みたいに過ごしていると良いな。」

召喚されて3か月弱経っている。無事だと言う事は元気でやっているのだろう。

情報はいったん置いといて俺はホテルに向かった。

「マスターーーーーー 家令はベルル、ベルルよね!」
ベルルが飛びついてきた。

「こっちのホテルも家令がいるのか?」

フロントの受付に美女が二人いた。

「初めましてマスター。我々ホテル従業員が2名。後、作業用ゴーレムが3体お仕えいたします。」
そう話すのはシニヨンヘアの女性だ。ホテルの支配人で名前はキアラ。
副支配人がショートヘアのモアナ。 あとはキーパーちゃんが3体追加と説明された。

「私どもはお客様に満足いただけるよう精一杯務めさせて頂きます。」
キアラとモアナが深く頭を下げた。

(お客様?)俺は何か間違ったのだろうか。
ダニーみたいに宿屋を家にしたかった。

「ホテルだから家族ではなくて~お客なのよ~。」とベルル。

「ええ、もしかしてお金とるの???」

「マスターはオーナー様です。眷属の方々もお代は頂きません。」
あービビった。

ホテルのロビーではイブキ達が不安そうな顔でこっちを見ている。

「みんなこっちに来てよ。 ホテルを家にしたんだ。人数増えたからね。」

イブキ「家? ログハウスはどうするの?」
「僕とテオの作業場にしようと思う。」

トモ 「じゃぁ、ここに住めるのね?」

ユカ 「部屋見てきていい?」

「いいよ、決まったらロビーに集合して顔合わせしておこう。みんな30分以内で決めてきてよね。」ダニーの所に帰らないといけない。

「ジューク達も決めてきて。後でロビーで会おう。」
彼らは戸惑っていたがイブキ達を追って部屋を見に行った。

テオ 「私と母上はログハウスが良いのだが。」

「うん。あっちが良いって人は残って構わないよ。食事はホテルになるから面倒でもこっち来てね。ベルルとキーパーちゃんもホテルに移るから、ハウスは掃除だけやってもらうつもり。」

「わかった。作業場があのままで嬉しい。」

「一応ホテルの部屋も取っておいて。寝るだけでもいいからさ。」

「後で見ておこう。」「ベルルは支配人たちとの連携を頼むね。」「は~~い。」

30分後全員戻ってきたので顔合わせを済ませて、後の事はベルルに任せ俺はダニーの所に戻った。

「ふぅ、間に合った。」

俺はテントを用意し、食事の支度もしていると、ほどなくしてダニー達が戻ってきた。

「お前なぁ、心配させるんじゃねーよ!」と頭を小突かれた。
「何心配してんのさ。ニトはここで留守番してたんでしょうが。」とオリビアさん。
冒険者達は8階まで到達できたそうだ。サラ達もケガはない。

目まぐるしい一日だった。最近の俺は働き過ぎだ。属性がニートなので疲労感が半端ない。
冒険者達も全員無事で戻ってきた。明日も早朝からダンジョンで討伐を続けるため食事を終えると俺達は早々に休んだ。

真夜中、寝付かれずに何度も寝返りをうっていると、足音がこっちに向かっているのが聞こえる。

「クロ、準備だ。何か来る。」俺は<透明化>して何かを待った。

テントの前で何かが立ち止まった。こんな真夜中に、怪しい、緊張する。

「スライム王様に謁見に参りました。」女の子の声がした。

「へ? 王様に会いに来た?」 「そうだ、お目通り願いたい。」

「何の御用でしょうか。王様はお休み中でございます。」

「それは失礼致しました。私のダンジョンにて宜しくと御挨拶を頂いたとの事。
遅ればせながらご挨拶に参りました。」

(こんな夜中に迷惑だな。びっくりするじゃないか。クロのお客?)

ニトに<変貌>してテントから顔を出すと綿飴のようなフワフワの真っ白な髪、真っ赤な眼とリップの女の子が正座していた。
(ひぇぇぇ 吸血鬼じゃないの?)

目が合うと腕を組んで思いっきり睨まれた。「貴様は王の従僕か?」口も態度も悪い。
他所のコアに挨拶なんかするんじゃなかったぜ。

目の前にクロを差し出してやった。「ご挨拶をどうぞ。」

「お初にお目にかかります。私は吸血鬼一族ハースラート公爵家一の姫リオンと申します。」
コクコクとクロが頷いてる。 クロって偉かったんだな。王様だもんな。

「ご苦労、下がって良しと仰っています。」関わらない方が絶対いい。
俺はクロを引っ込めてテントの入り口をピシャッと閉めた。

「あ、こら、待て貴様、不遜であるぞ!」

「お帰り下さい。大きな声を出して人間に見つかると困るんじゃないの?」

「むぅ、ではこれで失礼仕る。」リオンとやらは去っていったようだ。

(時代劇かよ。ようやく拙者は眠くなって来たでござる・・・zzz)



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