【インスタントフィクション】 お菓子の成分表示の真実

気づいてしまった。

菓子のほとんどが、砂糖・小麦粉・バター・卵・時により牛乳で、構成されているなら、私たちが味わっている菓子は、すべて同じものなのではないかと。

この事実に気づいたとき、私はこの考えを永遠に封印することに決めた。

だって、そうだろう。

ありがたがって食べている流行のあの菓子も…。
あんなに並んで、ようやく買えて、食べれている流行りの店も…。

すべてが、同じもので構成されているのなら、すべてが、大差ないのではないかと。

私は、気づいてしまったのだ。


気づいたからには、もう戻れない。
あんなにも、楽しんで、おいしいねと言い合っていた菓子たちが、元を正せばすべて同じであるとわかってしまったから…。


「これは危険な考えだよな」
「ちがああああああう!」
私の友人であるド田舎でフードロスと戦うケーキ屋店長が、奇声をあげた。

「違うって、なにが?」
「食感! 材料の配分! あと技術力が違えば、菓子は全部違うの!」