【インスタントフィクション】 打ち切り漫画の未来
漫画を読むのは好きだ。
でも、私がハマる漫画は軒並み打ち切られる。
あまりにも打ち切られる頻度が高すぎて、読みたい漫画が読めなかった。
もしも、私のせいで打ち切りになったらどうしよう…。
そういう思いを抱えた私は、漫画から遠ざかってしまった。
だが、ある日気づいたのだ。
私が漫画を描けば、打ち切りに困る必要がないのでは? と。
私は漫画を描くことに没頭した。
キャラクターは過去の打ち切り漫画から引っ張り、打ち切りで回収できなかった伏線を想像で補って新たなストーリーをでっちあげる。
絵は上手くなかったが、描いていくうちに気にならなくなった。
ある日、私の書き溜めていた漫画を勝手に友人にSNSでアップされた。
私は怒って全部消すように言ったのだが、友人は言うのだ。
「もったいないよ。この漫画よくできてるのに」
よくできていても、想像の産物だ。
数日後、私の好きな打ち切り漫画の作者たちから応援メッセージが届いた。
消せない。