【毎週ショートショートnote】塩人(しおんちゅ)
広大な海が、目の前にある。
「いっしょに、泳ぎましょう!」
「は、はい」
わたしは高嶺さんに手をひかれて、海へ行く。
けど、高嶺さん、ものすごくスタイルいいな!
いつも思ってたけど、口には出さなかったけど。
「ふう、たくさん泳ぎましたわね」
「そうだね…」
高嶺さんがTシャツを着てくれたので、目のやり場に困らなくて済んだ。
Tシャツには塩人と書かれている。
「高嶺さん。塩人って、どういう意味ですか?」
「わかりませんわ」
きっぱりと、わからないことは、わからないと言える高嶺さんは、やっぱり素敵だ。
「沖縄のこと、くわしいと思ってましたけど」
「別にくわしくありませんわ」
「え、じゃあなんで、わたしを海に誘ったんですか?」
沖縄の海に行きませんこと? と言われて、ほいほいついて行ってから、聞くことじゃないかもしれないけど。
「こうやって、潮風にいっしょにあたりたかっただけでしてよ」
高嶺さんの太陽よりまぶしい笑顔を見れて、わたしはとても満足した。