【毎週ショートショートnote】 スベり高等学校

高校2年生の秋。
みんなが、楽しげに体育祭や文化祭を待ち望んでいるなか。
僕は進路に迷っていた。

僕の通う学校は、スベり止めとして有名で、学力は高くない。偏差値も中の下のさらに下だ。

だから、高校を出たら就職するという子が多い。僕は進学予定だけど。

問題は、どこに進学するかだ。
将来は、料理をして、はたらきたいと思ってる。
でも、料理をしたいだけで、その先なんて考えたこともなかった。

「はあ…」
「どうした? ため息ついて」
「林檎ちゃん」

「進路希望調査票か。もう、そんな季節か」
「他人事みたいに言ってるけど、林檎ちゃんは進路、決まってるの?」

「ああ、服飾関係の仕事につきたいから、専門学校にいく予定だ」
「林檎ちゃん、服、好きなの?」

「好きっていうよりか、私、デカいだろ? 制服も男子の服しか、はいるのなくてさ。私みたいに、大きな女の子むけの服をつくりたいなって思ってんだ」

「すごい」

ちゃんと考えてる。
林檎ちゃんは、しっかりしてるな。