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あなたたちは人を信じられるか〜『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 2』〜

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 2』を読んだので、感想をば。続編ってあんまり期待できなかったけど、こちらはこちらで違う良さがありました。

内容

著者のブレイディ みかこさんとアイルランド人の旦那さんの間に生まれた息子さんは中学2年生に。1のときは元底辺中学にいろいろ戸惑ったけど、今は勉強に部活にと結構忙しい日々を送っている。相変わらず差別も偏見も貧困もあるけど、ラフ&タフに立ち向かいながら生きている彼の日常を書いたエッセイ。

息子さんの成長

1の時はこの息子さんの感性すごいな〜って思っていました。物事を深くみる、視点を変えるって大切だなとしみじみ。ときに深すぎてこの子大丈夫!?って感じるくらいでした。大人から見ると将来が楽しみって思ったけど、自分が同級生だったらあんまり仲良くなりたくないタイプだったかもな。

2では良い意味で受け流す・相手に任せるといった柔軟性が生まれていて、これだったら仲良くできるかも?と思いました(笑)宣伝文に完結って書いてあって、彼の成長が見れないのは残念。ずっとやるのは難しいかもね。

良心を信じられるか

今日のタイトルは作中にある『君たちは社会を信じられるか』を文字ったものです。この章が本作で一番印象に残りました。イギリスでは、中学の卒業試験で国語にスピーチがあります。そこで選んだテーマがエッセイの核になっています。

彼は母の生まれた国・日本で起きた台風の避難所でホームレスを追い返した事件を取り上げことに。本当は自分が住む地域で起きた元図書館をホームレスのシェルターにするというを問題を取り上げたかったけど、直接的に取り上げるのはやめ匂わせる方向へ。

私は避難所からホームレスを追い出した話をニュースで見たとき「ひどい!」って単純に思いました。でも、彼はそんな簡単なことを伝えたいのではなくて、本当のテーマは『社会を信じること』とだったということに驚きました。

東京の図書館に勤めていたとき、同僚から「本当に臭いっていうのは目に沁みるんだよ。どんなに混んでいてもその人がいる空間だけは空いているし。」と言われたことが印象に残っています。

自分がもし避難所の職員だったり、避難してきた人だったら快く向かい入れていたかはわからないです。ただ、その時に自分の気持ちではなくて他の人が嫌がるかという理由で断っていたのかではないかという分析を彼がしていました。

台風の中追い返せば命の保障はない。もし避難所の職員が社会を信じることができていたら、自分の決断を後押しする人がいると信じることができれば、追い返すことなんてなかったのかもしれないということです。

これって社会ということもあるけど、社会を構成する「人」を信用していなかったのかもなと思います。もっというと人の良心。単純なのは悪いことではないけど、問題は解決しないな。

まとめ

全体的に日本と比べてイギリスは、格差も貧困もハードだね。社会科は日本よりしっかりやっているのに(授業で各政党のマニュフェストを読んで議論とか)どうしてこうなってしまうのだろう?
息子さんを今後出すのは難しくても、他国を庶民の目線で見たいから続編出してほしいな。



































































































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