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【MTG レガシー】 「青黒ダークデプス」の挑戦その6/指輪物語 【初心者、復帰勢に向けて】
1.6月21日。「指輪物語:中つ国の伝承」、ついに発売です。これは……こまったゾ。
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《一つの指輪》を喪ったフロドのために
白い宝石と
「自分のための席」を渡すアルウェン妃
地味ながら……重要な場面です
何が“こまった”やねん、という話ですが、僕は中学校の図書室で、旧版、日本語訳の……いわゆる「赤表紙本」を見つけて以来、少なくとも25回は「指輪物語」を読んでいる人間です。
はじめは物語の筋を追うだけで、精一杯でしたけどね。年をとるにつれ、格調と優しさとユーモアを備えた「瀬田貞二」先生の名訳を味わえるようになり……心境や生活の変化があるたび、時間をかけて読み返しています。今でも。
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その聡明さと美しさは群を抜きます
若い日には「男勝り」と呼ばれ
肉体の「闘技」でも最強だったのは
知られざる事実↓
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自分の心の少なからぬ部分を構成している最愛の作品と、「マジック」との合流!!? 発表を聞いたとき、喜びより、まず不安が走りました。
期待を掛けすぎるのは、賭けだからです。10時間近い映画版も観ましたが、そちらはあまり好きになれなくて(それでも、3回は観た)。とくに、好きなもの同士、「My Precious=いとしいしと」の乗算となればな……。
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常時《スメアゴル》状態の著者
実際にカード化された「中つ国」の世界は、おおむね……良しです。もちろん、僕個人のイメージと離れた部分も少なくはありません。しかし、愛と尊敬を感じる。フレーバーテキストのセンスには唸らされることも。カードへの落とし込み方も面白いものが多いです。
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イラストも9種類が用意されていて
芸が細かい
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まあ、プレインズウォーカーだって
時系列違いで同一人物が並ぶことあるし?(震え声)
そして、発売直後に開催された「日本レガシー選手権 夏」。「指輪物語」は純粋なフレーバーを超え、レガシープレイヤーを震え上がらせることになります。このカードの台頭です。
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「デッキに1枚しか入れられない」
とでも書いてあれば……
《一つの指輪》。戦場に出たとき、プレイヤーが「プロテクション(すべて)」を得るため、ほぼ隙がなく、本体も「破壊不能」で鉄壁。重荷カウンター1つにつき1枚カードを引けるので……戦場に出したときに1枚、次のターンには2枚引くことができ……《Time Walk》+《Ancestral Recall》とさえ評される超兵器です。
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いや、あの、“完璧に使いこなした《指輪》はあらゆる戦局を覆す武器になる”という原作の描写に忠実ではあるけどさ……《指輪》に魅入られたものは、たとえ勝利を収めても“新しい冥王”になると宿命づけられているんやで?(負け惜しみ)
そもそも、2枚目以降を張り直したら、伝説ルールで1つ目を破棄して、「重荷」を、すっ……と消せるのもズルい。《一つの指輪》なのに4枚セットの運用が基本なのは……うーん。うーむ。
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さて。僕自身、まだまだ、実戦の場に戻れそうな環境にはいません。それでもレガシープレイヤーの端くれのつもりですので、自分のデッキの研鑽を怠るわけにはいかないでしょう。
「青黒ダークデプス」、「指輪物語:中つ国の伝承」対応型です。生存報告を兼ねて、いつか訪れる復帰戦のために。
2.《帳簿裂き》で手札を入れ替えつつ、《マリット・レイジ》と《濁浪の執政》を組み合わせて空戦をしかける、攻撃志向の強いタイプ。
《不毛の大地》や《カラカス》などの「デプス」が苦手とするカードにも完封されにくいのが利点です。
また《意志の力》や《思考囲い》を完備。その上で、「土地コンボ」なので打ち消し呪文や手札破壊に強く、「アンフェア」同士の決戦で有利な構造になっています。
ただ、《一つの指輪》を自分から活かせるデッキとは言えないですね。4マナは重く、本来の速さに合いません。《暗黒の儀式》で《指輪》の早出しをすることで守りとカード・アドバンテージ獲得を両立しつつ、「デプス」コンボ達成を狙う「フルコントロール」タイプも考えてはみたのですが……。
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《一つの指輪》の流行が一過性ではなく、これから安定して環境を支配するかは未知数。ともあれ、立ち位置としては自分が“使う側”ではなく、“対応する側”とみて、間違いはないでしょう。後述しますが、《指輪》を封じる手だてなら、はじめから多くを装備しているデッキです。
「青黒ダークデプス」にとって「指輪物語」での収穫は、むしろこちらのカード。《オークの弓使い》。
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……誰!!? キミ、原作に出てた? 怖っ!(イメージは、《ボロミア》を撃って《メリー》と《ピピン》をさらった連中かね……?)
《一つの指輪》以上に前評判を得ていたのが、このカード。対戦相手が通常ドロー以外でカードを引くたび、いずれかの対象に1点ダメージを飛ばし、オークの「動員」。しかも「瞬速」持ち。
対戦相手の《渦まく知識》に合わせれば、3/3のオーク・トークン+3点ダメージ(追記。あっ、戦場に出たときの誘発も加えると、4/4と4点か!)。ちなみに《グリセルブランド》の起動型能力に合わせれば、大悪魔を射落とせます。凄すぎる。これが《レゴラス(黒)》かよ……。
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「青黒ダークデプス」は、小型の飛行クリーチャーを並べられることを苦手としています。《氷牙のコアトル》や、最近なら《語り部の杖》。
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《マリット・レイジ》と《濁浪の執政》という二大アタッカーの行く手をふさがれて、逆転の時間を稼がれるのがもっとも困るからです。半自動的に小型ブロッカーの掃除ができる《オークの弓使い》の登場は天祐でした。
《マリット・レイジ》での一撃殺だけでなく、通常攻撃でもダメージを蓄積させたいデッキなので、オーク・トークンもサブアタッカーに加えられるのはうれしい。
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「青黒ダークデプス」は白いフェアデッキとの対決に課題が残るため、《オークの弓使い》がその弱点を補ってくれればと考えています。しっかりプレインズウォーカーにも矢が当たるので、《時を解す者、テフェリー》などの天敵をカード損失無しで射抜けるのも吉。
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《マリット・レイジ》を無に帰される上
コントロール要素を打ち消し呪文に依存するので
何もできなくなることも
以前のバージョンでは《帳簿裂き》の「諜議」達成用0マナアーティファクトに《水蓮の花びら》を採用していましたが、手札消費が激しく、今は《ミシュラのガラクタ》を優先。最速パターンの再現率を下げる代わりに、安定性を向上。コンボ達成よりも通常戦に重心を置いた型ですね。
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気に入らなければ「フェッチランド」でシャッフル
という小技もあり
《ガラクタ》の名に似合わないほど便利で、高価でした
再録、バンザイ
《一つの指輪》そのものに関しては、対処の手だてを持たないデッキではありません。たとえば……、
①打ち消す。メインボード《意志の力》+《呪文貫き》、サイドボード《否定の力》。
②手札から捨てさせる。メインボード《思考囲い》、サイドボード《トーラックへの賛歌》。
③追加ドローを封じる。サイドボード《覆いを割く者、ナーセット》or《船殻破り》。
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1枚も引かせない《船殻破り》のほうが上
《ナーセット》はクリーチャー除去が当たらず
自分の手を進められるのが利点
ふつくしいし
「プロテクション(すべて)」を《もみ消し》で対処し、返す刀で《マリット・レイジ》の致命撃を叩き込むのも有効でしょう。《ダウスィーの虚空歩き》を繰り出し、手札破壊などと合わせて先にぶんどるのも手です。つまりは「指輪戦争」勃発。ある意味でフレーバーに忠実。
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《サルマン》になれるぞ↓
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「白のほうが良かった」↓
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《一つの指輪》然り、突出した強カードに頼るタイプのデッキに対し、「青黒ダークデプス」は有利に立ち回りやすいはずです。
ただ、メタゲーム全体がどのような反応を示すのかは……まだわかりません。その潮流を読みきるのは僕の能力を越えており、役目でもないからです。
《指輪》が恐るべき兵器というのは事実。そのため、最初からカード・アドバンテージの奪い合いをしかけない「アンフェア」デッキの台頭、という未来になれば、「青黒ダークデプス」にとっては追い風なのですが。
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無関係さ~
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3.自分が再び、復帰勢の1人としてテーブルに戻れる日。そのタイミングでレガシー環境がどうなっているかは、予見のしようもありません。あまり心配はしていないですけどね。
「レガシーは寛容である」と、やっぱり僕は楽観的に信じることにしています。
なにか、環境を激変させるカードやデッキが現れたとしても、同時にそれに対処する手立ても生まれる……「マジック」の歴史そのものと言える「レガシー」の膨大なカードと戦術群が、必ず応えてくれるでしょう。
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《目くらまし》に守られた《こいつ》とは
2度と戦いたくねぇ~~~
これも「歴史×最新」という組み合わせです
僕が「指輪物語」を好きな理由は、「レガシー」とよく似ています。
実は、物語の舞台“中つ国”は、今、この現実と地続きの“同じ世界”。その上で、はるかな“むかしむかし”のお話です。
旅の途中、「ロリアン」の芝草の上で《フロド》が《ガラドリエル》の奥方さまから授かり、くらやみの国「モルドール」侵入の大きな助けとなった《ガラドリエルの玻璃瓶》。
この瓶には「宵の明星=エアレンディルの星」の光が集められています。「エアレンディルの星」とは、さらに長い長い物語の始めに、いまは亡い「原初の2つの木」から採取され、「シルマリル」の宝玉に封じられた光そのもので……。
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かれには奥方の言葉が聞こえました。
遠くしかしはっきりと。
「そなたにはこれを用意しました」
物語の終わり、《アルウェン妃》の代わりに、この世の外への船に乗った《フロド》は《玻璃瓶》を掲げることで、仲間たちへと永い別れを告げます。地上に残された最後の純なる光を連れて……。
こうしてエルフや魔法使いたちが息づいていた“魔法の時代”は終わり、今に続く“人の時代”が始まるのです。
僕が知る「指輪物語」とは、このようなお話です。
“中つ国”では、いまは失われた、貴い時が流れています。たとえば、ホビットたちが安らぐ《緑竜館》。
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ドワーフの古都、《モリア》。
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この世の始めに落ちたドングリから育った《ファンゴルンの森》。
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《ケレボルン》の殿と《ガラドリエル》の奥方が住まう、地上のエルフ界の核心《ロスロリアン》。
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「ゴンドール」の庭、乱れ髪の女神の地《イシリアン》。
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《ギムリ》を魅了した《アグラロンドの燦光洞》。
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影横たわる《モルドール》の国。
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そして、西方の海を望む、《塔山丘陵》のエルフの塔。
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前に観た映画版は(尺の都合があったとはいえ)、あわただしくエピソードを追うことに終始していて……時間的にも空間的にも、背景や歴史にまで想いを巡らせる余白が少なく、好きになれなかったのですよね。あと、《サム》のキャラクター性の改悪は、はっきりと許さん。
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第1次大戦時、将校だった「J・R・R・トールキン」は
「多くの質実な《サム・ギャムジー》たちに
助けられた」
と書いています
僕にとっての「指輪物語」は一大スペクタクルというより、《馳夫》さんが長い足を伸ばしてパイプ草を燻らしたり、《ギムリ》と《レゴラス》が軽口を叩きあったり、たき火にあたったり、料理したり、鳥が川辺を飛んだり、ビールを飲んだり……そういう“時”を共に過ごすためのもの。
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超重要アイテムで
これをもらっていないと、早々に全滅です
「バタークッキー」的なものを想像していたのだが……
「ブルボン」=「ロスロリアン」説
今回の「指輪物語:中つ国の伝承」は、そのための解像度をあげてくれる内容で、僕は満足しています。くりかえしますが、深い愛と尊敬がある。よくぞ、というような人物、道具、地理まで現実化してくれていますし。
まさか、性能面のトップレアまで《一つの指輪》になるとは……仰天しましたが。
なぜ「レガシー」と似ているのか。「マジック」はせっかく「魔法使い」になる遊びなのですから、“失われた時”を取り戻すような魔法を使いたいでしょう? それは僕にとって《意志の力》であったり、《暗黒の儀式》であったり、《渦まく知識》であったり……。
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……好きなものの話になると、延々と続けてしまいますね。この辺りで筆を置きましょう。
最後に、無責任で個人的な頼みごとがあります。
いずれ、最新型の「青黒ダークデプス」を手に、テーブルへ戻れる日まで。どうか代わりに「レガシー」を楽しんで、古い魔法を存分に活かせる“ホーム”を守ってくださればと思います。
いつか、どこかの席での“再会”を願って。それでは、また。
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《袋小路屋敷》
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《ハムファスト・ギャムジー親方》まで
収録してくるとはよ……
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