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【MTGレガシー】  「ミラー・ストーム」“1人回し1000周の孤独な旅” 【初心者、復帰勢、自分と同じ親に向けて】

1.「X」(旧ツイッター)で予告したとおり、「ミラー・ストーム」の1人回し、1000周分を記録したぞ(狂気)。

いやー、2度とやりたくねぇ。……正解には、“記録をとっての”1人回しは、もうやりたくないですね。
プライベートでの趣味としての1人回しは、日々の習慣としてこの2倍くらいをぶん回してるのですが、いざ記録をとりはじめると、本当に疲れるし、気が滅入る。
500周までは100周ごとにテーマを定めて、その比較を楽しんでいたのに、501~1000周は記録用にリストを固定したので、構築面で変化をつけられないのがツラかったのです、虚無だったのです。

《空虚自身》なのです

あと、だんだん“記録のための記録”という性格を帯びてくるのが、非常によろしくない。こちとら人間なので、より好成績を狙いたくなるからです。

いつもは、「こういう相手なら1手待とう」「このカードを出されたら困るので、最速展開を目指そう」などとイメージするのに、「1手でも少なく、速く」とだけ考えて、極度に単純化した短距離走だけを繰り返しても、面白くないし、勉強にもなりません。

「はぇ~……」

あらかじめ、断っておくと、この“1人回し×1000”実験でわかったことは、「ミラー・ストーム」という「エルドレインの森」で《鏡に願いを》が刷られたために生まれた、真新しいコンボデッキの
「妨害を最小限しか考慮せず、コンボ達成まで最短距離を走ったときのスプリント能力はどれほどのレベルか」
この1点に過ぎません。

ともあれ、このニッチなデッキのまとまった記録としては“世界1の回数を記した”という自負はあります。アホやん……いえ。いずれ、誰かの何かの役に立つこともあるかもと信じ、記事に遺しましょう。今回のリストはこう!

2.noteでもツイッターでも記事にしましたが、まずは復習を。
この「ミラー・ストーム」とは、条件を満たすことで、デッキ内の4マナ以下の呪文のマナ・コストを踏み倒して唱えられる《鏡に願いを》と、

墓地のカードをプレイ出来るようになる待機呪文《ガイアの意志》を組み合わせ、

擬似的に史上最強ソーサリー《ヨーグモスの意志》の効果を再現し、手札と墓地との「表」と「裏」で莫大なカードアドバンテージと充分な「ストーム」数を稼ぎ、《苦悶の触手》で対戦相手のライフを吸い尽くすデッキです。

コワイ!

しかし、以前の記事にも書いたとおり、とにかく繊細なデッキです。
「①黒黒黒」という《鏡に願いを》のマナコストと「協約」コスト(アーティファクトorエンチャントorトークン)を最速で揃えねばならず、どうしても不安定になりやすいからです。
実際のところ、最大の努力をはらえば、どれほどの速さになるのか? という純粋な疑問が、記録を付けはじめた動機。

「フーム……今年は蓮でも植えてみるか」(違う人)

今回の記事は、100周ごとにリストとテーマを細かく変えていた前半500周の内で、
「何ターンで対戦相手を倒せるか=“平均キルターン数”の小ささ」
「5ターン以内に対戦相手を倒せない回数=“コンボ失敗数”の少なさ」
この2点において、もっとも安定した成績を示した“《親身の教示者》2枚《否定の契約》4枚”型を、さらに500周、追加で回して、集計したものです。
性格と成績が異なるリストが混ざるとブレが生じるため、実際は《親身》+《否定》型600周分のデータだとご理解をいただければ。

必要なら
あと、400回転するぜぇぇぇ

長い前置き、失礼を。それに、細かい集計ミスはお許し! 数字で見た「ミラー・ストーム」の能力はこう!

・平均キルターン数「3.164」
・コンボ失敗率「10.5%」

これだけでは分かりにくいので、内訳!
・1ターンキル率「3.0%」(18/600)
・2ターンキル率「14.5%」(87/600)
・3ターンキル率「36.833%」(221/600)
・4ターンキル率「31.167%」(187/600)
・5ターンキル率「4.0%」(24/600)
・コンボ失敗率 「10.5%」(63/600)

後述のアプリを使うことでデッキを高速回転させており、画面切り替えの手間さえ惜しかったので、なんと手書き+電卓で計算。はー、しんどい。しかし、この内訳を出したかったための1000回転だったので、満足満足。

頻度がもっとも高いキルターンが3ターン目の「36.833%」。次が4ターン目の「31.167%」。合わせれば「68%」を占め、この時間帯で戦うデッキだと言えます。超高速といえるほどではないので注意!
とはいえ、3ターン目までに対戦相手を倒せる確率、1ターン目の「3%」+2ターン目の「14.5%」+3ターン目の「36.833%」=合計の「54.333%」は事前の予想より、やや良しです。打ち消し呪文や手札破壊呪文の刺し方次第で、充分に対戦相手のガードを貫くチャンスはあるはず。

今回は集計の都合で、5ターン以内に倒せない=「コンボ失敗」とみなしており、その確率を落とすために《親身の教示者》で《鏡に願いを》をサーチできる型にしていました。実際に1000周を回したあとで、数字を見ると、あえて使わないのも選択肢ですね。

「ん?」

このカードは「3ターンキル」以前に貢献するケースよりも、どちらかといえば「コンボ失敗」→「4ターン目」「5ターン目」に数字を移す効果が大きいです。どのみち徐々に不利になりかける時間帯で、このデッキには《教示者》特有の、1ターンの時間差と1枚の枚数損の悪影響も大きい。
「定業」4枚型100周での平均キルターン数「3.07」より優れた数字を最後まで達成できなかった原因ですね。割りきって、序盤の強襲率を高めるほうが、実戦では優れた結果を得やすいかもしれません。

3.より精度を高めるためなら、あと400周くらいは軽いもの、と思いつつ……あまり意味はないだろうな、とも考えているのが正直なところです。
もともとは、1000周を回すうちに、デッキを完全に駆使するためのロジックの一端でも見つけられれば、ということを狙っていました。しかし、1000周のあとに得られた知見が、論理性と正反対に位置するもので……やや、戸惑っています。

要するに、この「ミラー・ストーム」というデッキ……実は全てのデッキがそうかもしれませんが……「使用者の気力、意志力に応じ、恐ろしいほどに戦闘力が変わってくる」のです。急になにいってんの、大丈夫???

いや、オカルトな話ではなく。
この実験は、計算のしやすさもあって、1人回し“10周を1ユニット”、さらに10ユニットを束ねて“100周を1セット”として進行しています。
疲れて漫然とプレイしているときは、明らかに成績が落ち、1セットでの失敗数「14」、最多キルターンも「3ターン目」よりも「4ターン目」のほうが上回り、平均キルターン数が「3.2」より悪化したことも。集中力が高まったときは、初手キープからフィニッシュまでの道筋がありありと見えて、1ユニット「2.6」か「2.7」になるのに。

また、失敗数と平均キルターン数は反比例しやすく、「このセットでは失敗数が多すぎるから、安全策をとったキープをしよう」などと、こちらの恣意を反映させがちになるのですよね。元も子もないけど。
それだから、僕が人という生物である以上、さらに数字ばかりを連ねることは、おそらく無意味に近いです。そのかわり、デッキを駆動する際の助けになる発見がいくつかあったので、多少なりと紹介を。

「ぽくぽくぽく……ちーん!」

・まず、このデッキは《鏡に願いを》を致命撃に変えるために「手役」というべき状況を作ることを要求してきます。感覚としては「ポーカー」や「麻雀」に近いかもしれない。
たとえば、最強の「手役」とは「《暗黒の儀式》×2+《水蓮の花びら》or《金属モックス》」でしょう。

詳しくは後述しますが、
“手札から「マナ加速呪文」→《鏡に願いを》→《ガイアの意志》を放つまでを「表」とし、墓地から「マナ加速呪文」→《鏡に願いを》→《苦悶の触手》までを「裏」とするなら”
「表」の時点で「5マナ」を作ることができれば、1度目の《鏡に願いを》を撃ったあとに「1マナ」が余り、「裏」でふたたび「マナ加速呪文」を使うのが容易に。
2枚の《暗黒の儀式》なら「黒」→「黒黒黒黒黒」なので完璧。1ターンキル達成には、ほぼこの「手役」が関わります。

より頻出なのは、次の「手役」。「《暗黒の儀式》+《陰謀団の儀式》+《水蓮の花びら》+α」。

こちらは汎用性が売り。《水蓮の花びら》は戦場に「アーティファクト」があれば「マナ加速」に、「黒マナ」があれば「協約」コストに変換できる万能カード。2枚の土地をおいた状態ならマナ量が充分になるので、2ターン目に狙っていくことが多い「手役」ですね。

次も頻出。「《暗黒の儀式》+《陰謀団の儀式》+《教議会の座席》+α」。

こちらの「手役」は1ターン目と2ターン目までに、あらかじめ《教議会の座席》を戦場に置いておくことが条件。
3ターン目コンボ突入時、あえて手札からは土地をセットせず、戦場の《教議会の座席》からマナを出したあと《鏡に願いを》の「協約」コストに。《ガイアの意志》解決後、墓地からふたたび戦場に出し直し、「マナ加速」と再度の「協約」に用います。ストーム数は稼ぎにくい「手役」なので、なんらかの補助は必須。

たとえば《教議会の座席》が複数並んで、アーティファクトの個数が多いときには、
「マナ加速呪文」→《鏡に願いを》→《鏡に願いを》→《鏡に願いを》→《ガイアの意志》
というように複数回の《鏡に願いを》を連鎖させ、ストーム数を稼ぐ手だてが有効。

充分な「協約」コストが用意できていれば
デッキ内全ての《鏡に願いを》を
連続で唱えられます

と、こんなふうに。どれほどの「手役」を知っていて、初手から終局までの距離をイメージできるかが肝要かと。
マナ収支+2の《暗黒の儀式》、マナ収支+1か「協約」コストのどちらにもなれる《水蓮の花びら》が、デッキ内で上位2位の、とにかく強い切り札です。一方で《陰謀団の儀式》はスレッショルド達成まで弱く、これだけをキープ基準にするのは、かなり危険!

・先ほども書いたとおり、「表」と「裏」で「10」の呪文を唱えるのが「ミラー・ストーム」。
「表」で「3つの呪文」+《鏡に願いを》+《ガイアの意志》
「裏」で「3つの呪文」+《鏡に願いを》+《苦悶の触手》
というのを1つの目安にしておけば、ストーム数「9」+《苦悶の触手》で、きれいに20点のライフを奪えます。

「ミラー・ストーム」の銘のとおり
「鏡合わせ」で5つずつの呪文を放つ
美しいコンボです

ちなみに、《鏡に願いを》を介さず、手札からの呪文の連鎖だけでストーム「9」達成も狙えないことはないのですが……1000周のうち、3回しか発生していません。《苦悶の触手》そのものに加えて、《渦まく知識》と《水蓮の花びら》を重ね引けば、あるいは。ストームは対戦相手の呪文にも反応するので、打ち消し合戦に応じてくれれば、上手くいくかも。

・今回のリストは《否定の契約》4枚採用により、
“コンボ突入までの余剰マナのすべてをパーツ集めに用いて
対戦相手の脅威は《意志の力》と《呪文貫き》で弾き返し、こちらの攻めは0マナの《否定の契約》で貫き通す”
というプランを基本としています。完全に、スプリント・スタイル。

“このターンに勝てるなら”
最強の打ち消し呪文
魂の業

しかし実のところ、裏で試していた《思考囲い》型のほうが、平均値ではわずかに速そうです。墓地に自発的にカードを貯めやすく、《陰謀団の儀式》スレッショルド達成までの早さが理由でしょう。
「3%」の1ターンキル、「14.5%」の2ターンキル時には《否定の契約》優位、「36.833%」の3ターンキル時には価値が同等に近く、「31.167%」の4ターンキルを視野にいれるときは《思考囲い》優位という印象。
ただでさえ、あらゆる妨害……とくに置物系全般に引っかかりやすいデッキなので、実戦では《思考囲い》を先に突き立てたい場面も多いかと思います。

こちらはデッキの“目”

他にも妨害の種類や枚数は、一考の余地あり。たとえば《タッサの神託者》をフィニッシャーとする「ドゥームズデイ」などと異なり、《激しい叱責》を自由に積みやすいのは明確な利点です。
《ウルザの物語》トークンなどを壊滅させられる防御手段でもあり、《スレイベンの守護者、サリア》を筆頭にしたクリーチャーによるヘイト戦術を乗りこえる命綱でもあり。

「ドゥームズデイ」との直接対決において
《ライオンの瞳のダイアモンド》で
手札を全部捨てたあとに合わせられると
清々しい気持ちになれるよ

この辺りの選択は、好みと環境に応じるところです。
《島》を優先で並べやすく、デッキ内の青いカードの枚数=ブルーカウントが多くなるぶん、《意志の力》を強く使える「《否定の契約》型」も好きなんですけどね。
細く、しかし鋭く、美しい。作者のプレイスタイルと、それ以上に“フェチズム”を反映しすぎている部分なので、積極的にはオススメしづらい調律かも。

コンボを貫き通すのは《否定の契約》の仕事で
《意志の力》は
対戦相手からの脅威を防ぐのが主な役目

4.ふぅ。「ミラー・ストーム」に関して、まだまだ書きたいことは多いとはいえ、いったん筆を置きましょうか。
“1人回し1000周の記録”なぁ……デッキとは、対戦相手との攻守によって、はじめて本当の意味で完成するものです。それだから、まぁ、この実験がすぐに実戦の役に立つわけはなく、1つの側面を描き出してみたかっただけ。
だいたい、いくら僕がちょっとおかしな1人回しジャンキーでも、普通はここまでしません。

なぜ、「ミラー・ストーム」だけは、これほど細かく記録する必要があったのか。
他にこのデッキを愛用する方がいれば申し訳なく思うのですが……本質的には、この「ミラー・ストーム」が“強いデッキ”だとは考えていないからです。
“強さ”という言葉は、“弱さ”の裏返しになってしまい、語弊があるのなら。
“強靭なデッキ“ではない、と言い換えましょう。

常に繊細な手札のバランスを要求されるため、干渉に脆く、コンボ失敗時の立て直しも至難。短期戦ならともかく、大会などの連戦に持っていくのは勇気が要ります。

しかし、まぎれもなく、美しいデッキでコンボです。
コンボ専用パーツは《鏡に願いを》4枚《ガイアの意志》1枚《苦悶の触手》1枚《予言により》1枚で、合わせて7枚だけ。この省スペースさは「ドゥームズデイ」にも匹敵します。

「レガシー」でもっとも美しいコンボデッキの1つ

そして《暗黒の儀式》《水蓮の花びら》などのマナ加速呪文が、手札と墓地との「鏡合わせ」で、そのまま致死量のストームにつながる動作の流麗さ。

「黒」の鬼札
僕は《暗黒の儀式》を使うために
「レガシー」
というプレイヤーです

「美しいデッキは強いのか?」
それはわかりません。ともかく、可能性を追求せず簡単に放り捨てるのは、惜しかった。そのため、実戦より先にあらかじめ、膨大な試行回数と論理をもって、武装したいと思ったのですよね。
そうして、1000周。
現時点で得られた結論の1つが「このデッキは、使い手の精神力に感応し、戦闘力を大きく変えます」という、あまりに「どゆこと???」なものだったわけですが……。
あと10000周くらい回せば、その揺らぎさえ、ロジックの中に捉えられるようになるのか……?

ともあれ、最後に。この実験は良質な1人回しアプリがなければ、とても完遂は不可能でした。「MTG Tools」と開発者の「うり」さんに、大感謝! はぁ~、今回ばかりは疲れた。や~っと普通の1人回しができるので、嬉しいですわい。それでは、また。

このカードの気位の高さが、ほんま……
でも、そこが魅力でもあるんだよな~(末期症状)

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