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12. 作業表とヘルプ/渡り介護士の見る景色

見える化と言えば、介護施設は日々の業務を表にしがちである。利用者1人ひとりの出来ることが違うと、介護方法も1人ひとり違ったりして結構複雑だったりするから様だ。

表には、時間別でやる業務とか、この利用者は歩きと車椅子どちらで移動するのかとか。トイレや食事の手伝いの有無、薬の管理など表にして、確認しろと言わんばかりにステーションなどの壁に貼り出してあったりする。

わからない時はパッと見れば判断できるという、非常に便利な感じではある。しかし現場では利用者の状態は毎日変わってくるから、業務もどんどん変わっていく。と、どうなるか。表の1カ所が変わっても貼り替えなんてしない、ボールペンでちょっと訂正しておくのだ。

半年後、ずいぶん前に居なくなった利用者の名前の残っている、ぐちゃぐちゃに訂正された作業表がある。その隣にサインだけしっかりしてある、チェック表がペタペタ壁に貼ってあったりする。

せめて月1回でも表の見直し、管理をしなければ意味がないと思う。しかし介護士は忙しくて表なんか見ない、というか自己判断で仕事をしているので必要ない。それ以外の専門職にも、現場の仕事なんてしないから誰からも必要ない物になる。

誰も必要としていないから、管理する人もいないのである。新人介護士が来たりすると、見直されて復活、渡される事もある。
しかし、現場では「表ではこうなってるけど、私はこうやってる。」って言われ、ここでも役に立たなかったりする。

仕事を覚えてくると、他の知らない現場に〝ヘルプ〟という手伝いに行ったりする。
ヘルプは頻繁には無いので、渡された表を見ながら、わからない中で何とか1日を終える。何せ知らない現場だから、非常に気を使うし疲れる。

そして、だいたい忘れた頃に、またヘルプの指示があったりする。
「前やったから大丈夫だよね。」というスタンスでやらされるが。古いマニュアル表と更に変わった現場に混乱する。

知らない現場で働く事は不安であるし、何か事故を起こしかねない。知ってる現場で働く方が安心だが、在職期間が長くなってくると拒否しても通らない、強制的にヘルプをやる事になるのだ。

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