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【子連れWDW】親子三世代珍道中#4 ゆうは何しにアメリカへ?

11:10 シカゴ行きのNH004便はタキシングを開始した。


ペーは眠そうな目をしている。

いっぽうのゆうは、まだまだ興奮がおさまらず一人でしゃべっている。


じいちゃんとばあちゃんは初めての成田空港を、飛行機の窓からしっかり確認しているようだ。


とうちゃんは離陸までのこの時間が好きだ。

どこの誰かも知らない同士が、たまたま同じ時間同じ機内にいるだけで仲間になったような気がする。


「ちゃんとアメリカに着くかなあ」

「初めてなんですね 心配ないから落ち着いて」

「飛行機の中でちゃんと眠れますように」

「機内食早く食べたいなあ」

「向こうに着いたら乗り継ぎ急がないと」


お互い話すこともない乗客同士。

平静を装ってはいるが、みんなこんなことを思いながら周囲を見回しているんだろうと思うと、少しホッとする。


【登場人物】
じいちゃん  いつもおだやかニコニコ百姓。
ばあちゃん  おしゃべり大好き給食おばさん。
とうちゃん  自称旅行プランナー。
かあちゃん  ピアノ・バドなど多趣味。
ゆう     長男。明るくておしゃべり。
ぺー     次男。おっとりのいやし系。

シリーズ1番目の記事はこちら👇


成田空港

成田空港の誘導路は、すでに首都高のように渋滞している。

午前中に出国する飛行機が、同じような時刻に出発するからだ。


さらに、第2ターミナルから滑走路までがとにかく長い。


離陸待ちの渋滞を終えた機体が滑走路に侵入したのは、タキシングを初めて30分近く経ってから。

座席の背もたれに体が押しつけられるような加速が始まると、あっという間にタイヤが浮いた。


ペーはいつの間にか眠っている。

ゆうも安心したのか、離陸後10分しないうちに眠ってしまった。


遠くに富士山が見える。


4歳と2歳は国際便の機内でうまく過ごせるのか?


二人の子供達にとって初めての海外旅行。

心配事は10時間を超えるフライトだった。


普段から無茶を言わない子供たちだから、機内でもなんとかうまく過ごしてくれると期待していた。


準備していたものは

・アメ

・絵本

・おもちゃ

など。


そして機内でしっかり眠れるよう、搭乗までにしっかり体を動かすよう気を配った。


その甲斐もあり、二人はさっそく眠っている。思ったよりも少し早かったのだが、なんとかなるだろう。

しかし、その後二人の様子は全く違う方向へ進みだす。


はじめての国際便機内食

日本時間で13時を過ぎたころ、機内食のサービスが始まった。

ペーは匂いを嗅ぎつけて起きてきたが、ゆうはまだ眠っている。


トレーいっぱいに並べられた機内食。ペーはニコニコ顔である。


怪獣並みの食欲を持つペー。パンや果物などを両手で掴んでは口に運び、モグモグと忙しい。


いっぽうのゆうは、まだスヤスヤ眠っている。

普段こんなに長く昼寝をしないので、よほど興奮していたのだろう。


ペーは、ほぼ全て食べ切ったしまった。

最後にとっておいたジュースを、ストローで飲み干している。


ほとんどの乗客が食べ終えたころ、ゆうが目を覚ました。

やっと機内食を食べ始める。


気がつくと、ペーはもう眠り始めている。

よく寝るのがペーのいいところだ。


兄弟でも機内の過ごし方はこんなに違う

食事を終えたゆうは、再び元気を取り戻しおしゃべりを始めた。

そして、座席の前にあるパーソナルモニターに興味をもち始めたのである。


以前の飛行機では、乗客みんな同じテレビ画面を見るのが当たり前だった。


しかしこの頃には、一人一台のパーソナルモニターが座席の前に取り付けられていた。

映画・ニュース・ゲームなど、興味があるものを自分んで選択できる。

さらに手元には、自分専用のコントローラーまで付いている。


ゆうにコントローラーを持たせると、さっそくパターゴルフのゲームを始めた。

やり方など教えなくても、すぐに始められるからすごい。

すっかり夢中になっている。


ペーはスヤスヤ眠っている。


やがて機内の照明が落ちるのだが、ゆうの心の照明はまったく落ちない。

とうちゃんも眠くなったきたので少し眠ることにする。


暗い中で、おにぎりのサービスがあった。

とうちゃんはこれを2度目の機内食と勘違いしていたが、それはまた後で出てくる。


ゆうと並んで座っているのはとうちゃん。

後ろの列でかあちゃんは、ペーと横並び。

さらに後ろにじいちゃんとばあちゃんが並んで座っている。


体操をしながらお目覚め

搭乗して約9時間が過ぎ、暗い機内で体操が始まった。

大きなモニターに映し出された客室乗務員が、椅子に座った姿勢でやれる体操を行なっている。


ゆうは一生懸命それを真似している。

どうやらあれから眠ることなく、ずっと起きていたようだ。


とうちゃんもゆうにならって体操をする。

体操を終えると機内が明るくなった。


ゆうはようやく声を出せるのでホッとした様子だ。

まもなく2度目の機内食が配られた。


揺れに揺れたシカゴ上空


いよいよ着陸かと思われたが、シカゴ空港に多くの到着便が集まっておりしばらく上空待機とのこと。


離陸前よりも着陸前の待機の方が、心のダメージは大きい。


不運は重なるもので、この日のシカゴ上空は揺れに揺れた。

心配だったのはじいちゃんとばあちゃん。

2列後ろの様子を見たが、なんとか落ち着いた様子で座っている。


揺れが苦手なかあちゃんの横で、ペーはいつもとまったく変わらずニコニコしている。

はてさてかんじんのゆうだが、なんと今ごろになってぐっすり眠ってしまった。

この乱気流の中で寝ていられるのは、なんとも羨ましい。


揺れること40分、アメリカ時刻で7:45シカゴ空港に到着した。


ゆうの泣き叫ぶ声が空港中に響く

飛行機から降りないといけないのに、ゆうはすっかり寝入っている。

仕方がないのでゆうを抱っこし、荷物も持ちながら飛行機を降りた。


ペーはしっかり寝たので、何事もないような顔をして歩いている。


8:10 入国審査。

ようやく眠れたゆうを起こすと、キャーキャー鳴き声を上げた。

完全に寝ぼけている。


赤ちゃんの頃から寝るのが下手で、寝付けない時ほどよく泣いた。

また夜泣きが激しい子だったので、夜中によく散歩したのを思い出す。


まさか4歳になって今ここで『寝つきの悪さ』を発揮するとは思わなかった。


泣く子をあやしながら審査の列に並んでいると、最右翼の窓口をわざわざ開けてくれて手招きしてくれた。

そそくさと歩みを進め窓口に着くと、不機嫌そうな審査官が素早く手続きをしてくれた。

何はともあれ、入国審査は終わったのである。


バゲージクレームでケースが一番最後に出てきたので、税関を抜けるのも一番最後。

ふたたび荷物を預け直す。


しょうじきこの辺りの記憶は、ほぼ飛んでしまっている。


さあ、その扉を出よう。

ユナイテッド航空のカウンターに着いたころ、出口で担当のツアーガイドが大声を出していた。



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