見出し画像

国の借金と医療費、人手不足、補助金などなどから、歯科医師・医療従事者として今後の歩む道が少し見える。


みなさんは国の借金がどれくらいあるか知ってますか?

最初からなんだこの話はってことなんですけど、結構重要でして。これまでずっと言ってきているように、社会保障費は限界を迎えています。
社会保障費は保険組合と、国の予算から捻出されています。なので国の借金を知ることは社会保障を知る上で重要です。
「あれ?1000兆円って聞いた気がする」という人もいるかもしれませんが、今回は一般政務債務のお話しをします。

一般政府債務は685兆円

これが多いかどうかわかりますか?推移はどうでしょう?
わかったらあなたはよく社会情勢が見えています。
私たちはTVで国の借金は右肩上がりに増えているという話をよく耳にします。
が実際は下記グラフのようになります。

newspicks記事から転用

一般政府債務はコロナ禍をピークに減少している。

実は一般政府(中央政府、遅行公共団体、社会保障基金)の純債務は減少してきています。GDP比100%を水準になってきており、これまでの水準からすると急減と見てもいいです。

債務減少はインフレによる税収の伸びと・・・

円安による外的要因により、インフレーションが起こっているのはみなさんご存知だと思います。世界的な物価高の影響と記録的円安でずっとデフレだった日本も念願のインフレ状態に持っていくことができました(思った形ではなかったと思いますが)。
国の税収が増え、債務返還に充てています。
今後政府はPB(プライマリーバランス)を黒字化を目指しています。
プライマリーバランスについては調べてください。簡単にいうと、毎年借金だらけだった家計簿がようやくプラスになるということです。

NewsPicks記事から抜粋
https://newspicks.com/news/10333822/body/?ref=user_417355

社会保障費の削減

さて、PB達成に必要なことのもう一つは社会保障費の削減です。政府は右肩上がりで青天井に増え続ける社会保障費について本気で削減したいと思っています。
せっかく税収が伸びても、社会保障費に吸い取られてしまえば、PB達成は不可能だからです。

社会保障費の内訳

かといって、高齢者は今後増えてくるし、少子化もあり、医療費の抑制はどうすればいいかと考えるわけです。
下記に医療費の内訳を示します。

日経メディカル記事から抜粋
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/clinic/nhc/maruwakari/202403/583590.html

ターゲットは入院関連医療費か。

ここの中で大きく占めている項目は医科(入院)です。これは2021年のデータを元に作成されているのですが、全体の37.4%を占めます。
ここをターゲットにしているのは明確だと思っています。
これからその理由を示します。

①人手がたりない

急になんか飛んだなと思ったかもしれません。
ただ、これは大きく関係しています。
少子化に伴い、どの企業も人手不足に悩んでいます。これは私が人材コンサルティングを開始してから実感しているのですが、人で困っていない企業はないと言い切れるほど、人手が足りません。
外国人材を受け入れ、働いてもらうようにしていますが、先に述べた円安により、外国人材も日本で働くメリットが薄れ、就労人数が望めない状態となってきています。
困った国はとりあえず高齢者に働いてもらおうと考えました。

高齢者を健康に。

高齢者に働いてもらうには高齢者が健康である必要があります。
そこで高齢者が元気に働いてもらえるように企業に対して様々な補助金、助成金を出しています。
その一つが健康経営です。

経済産業省HPから抜粋

健康経営とは財務的なものではなく、従業員が健康で働けるように企業にもっと気を使いなさいというものと思ってください。
これにより高齢者がしっかり働けるようになります。
健康経営企業にはかなりの補助金・助成金を出すことになっています。
国民が普段から健康に注意していれば、入院費は伸びないと考えています。

②訪問診療点数の上昇

点数改定が毎年行われていますが、訪問診療点数の改定が目立って上昇してきていると認識しています。
おそらくですが、「家でみる人がいない」というようなケースで簡単に入院する人が多いのを厚労省は認識しているのではないかと思います。
訪問診療点数をあげることで、できるだけ入院費を上げないようにしているのは明確だと考えています。
私は歯科医師ですので、「訪問診療では十分な診療ができない!」と職人魂を出したりしてしまうのですが、訪問看護の伸びなどを見ると、かなり軽症のケースで入院している事があるのかなと推察したりします。

歯科医師・医療従事者が歩む方向

これを踏まえて、私が考える歩むべき方向をお示しします。
もちろん人それぞれに考えがあり、自分が描くキャリアパスはそれぞれ違いますので、あくまで私の考えです。

若いうちにあらゆる経験をする

まずはこれですね。称号は不要です。
あらゆる経験をしましょう。
その延長線上に資格があればモチベーションが上がるので、資格をとりましょう。
歯科医師目線でいうと、認定医や専門医は目指した方がいいと考えています。
可能なら博士号も取りましょう。
私も歯科外に出てわかるのですが、歯科医師はもちろん学位の称号の力は半端ないです。融資を受ける際に、銀行の方にびっくりされます。
歯科医師の先生方とお話しすると、私が口腔外科学会専門医までとったのに辞めているのでびっくりされます。
もちろんどちらも優位に働きます。
あと英語。TOEICなど受けましょう。もはや世界の共通言語なので、英語ができるというアドバンテージはかなりでかいです。
金融のこともしっておくほうがいいでしょう。簿記3級も若いうちなら取れます。
IT関連も強くあるべきです。
これはすべて多角的な視点を得るためです。多角的な視点を得られればお話しすることが多くなり、付き合いが増え、自然とチャンスが増えます。
たくさんの場に顔を出せるので、環境が変わり、価値観が増えます。
価値観が増えると、視座が高くなります。
若いうちは時間があり、無理も効きます(あなたが思っている以上に)
自分の視座が高くなればなるほど、それが武器となり、新たな装備も楽に手にいれることができます。

そして、いつか独立すること

これを言うと、お世話になった先生方からかなり反発を受けると思うのですが、勘弁してください。
あくまで私の意見です。
大学病院(医局)を辞めてわかるのですが、絶対に独立がいいです。
自由度が違います。
私は幸せの基準は自己決定権だと思っているので、幸せと独立は関連性があると思っています。
大学教授になっても、今はたくさんの業務に追われていたり、ハラスメントに対する社会的な監視も強くなってきており、かなり憔悴しています。
独立(開業)には確かに自由がありますが、同時に大きな責任も伴います。スタッフの雇用、経営の維持、人間関係の管理など、新たな課題が生まれます。
ただ、それは考えているからです。
重要なのは組織の仕組みを自身で考え、選択する機会があるという自由です。
大組織ではそれがなかなか叶いません。教授がいくら叫んでも新しいシステムは入らないし、雇用を増やすことはできません。(叫びまくったらいけるかもしれませんが笑)
独立して失敗したら、また戻ればいいんですよ。
まぁ歯科医師免許持って、失敗する人はそんなにいません。
これは身を持って実感しています。

最近理学療法士や検査技師、看護師の方々、いわゆるコメディカルのキャリアコンサルしていますが、どちらも需要は高く、戻れる場所がない、生きていけないなんてことはありません。
むしろ大胆な転職や独立をすることで、少なくとも一瞬は人生が豊かになり、また違った視点を手にいれることができます。
何度も言いますが、あくまで私の幸福感であり、それぞれ個人差があります。
組織で安定や所属感を重視する人もいるでしょう。
ただ、考えることは重要です。
本当に何がしたいのか、あなたにとっての幸福はなんなのか考えつづけるべきと考えます。

もし何か困ったことがあれば下記HPのお問い合わせから相談ください。
https://invcareers-lab.co.jp/service/career/
インスタ経由の方はDMでもOKです。
もちろん無料です。


自費のメニューを増やすこと。

これまで何度も言ってますが、医療職は職人でもありますので、自費メニューがあればそれに突き進んだ方がいいです。
歯科医師ですと歯科矯正やインプラントです。
歯内療法や歯周病ももちろんいいんですけど、都会に出る方がいいのではないかと感じています。というのもこの2つを自費で行ってもいいくらいデンタルIQが高く、お金を持っている患者さんがまだまだ地方には少ないと思っています(これもやったことないので偏見ですが)。

慢性的な人手不足により歯科衛生士や歯科助手、受付の方々の給料が上がってきており、首都圏のほうでは歯科医師より歯科衛生士の給料が高いという現象も見られてきています。
従来の保険診療だけでは採算が合わなくなってきています。
この傾向は今後加速するでしょう。そのため、自費メニューを増やすことが肝心です。ただ自費メニューはリスクもあるため、しっかりとした手技や知識が必要です。自費につなげられるようにラポール形成や、営業トークも必要でしょう。これは多角的な視点を学べば自然と手に入るテクニックだと考えています。
理学療法士の方々は病院を出て、週末だけジムトレーニングや腰痛予防ストレッチなどの指導をするのもいいでしょう。結構成功している人はいますが、増えすぎて廃業も増えてきています。他者と比較して優位性を出せるようなサービスが必要ですし、マーケティングや金融の知識も必要です。
検査技師の方は自費で何かを取るのは難しいと感じています。大胆な転職をされる方が多くなっている印象です。
検査技師として自費メニューが組める策があれば教えて欲しいです。
看護師は訪問看護ステーションで独立が一番いいのかもしれません。ただそれには、免許を持っているだけでは無理で、営業ができないといけません。手続き等もあきらめずに行う必要があります。

大胆な転職もあり

私のように歯科医師、博士号、口腔外科専門医も取ったのに、スパッと辞めて転職するのもありです。
前述したように、いつでも戻れるという自信があったので、大学を辞めることができました。
当直による疲弊、医療事故防止のために考える多大なリスク、それに伴う膨大なカルテやカンファレンスなどを考えると大学病院の給料は薄給すぎます。
朝8時のカンファから始まり、夜は10時を超すというような医局でしたが、そのくらいはまだたくさんあると思います。当直はなぜか休憩時間扱いとされ、夜中の3時に起こされ、処方箋を出しても出勤は10分程度とされる。
普通に考えて無理があります。
医療者としてのやりがいはあったかもしれませんが、定年まで続けるには自身の健康状態が不安になりました。
さらに国は社会保障費の削減を行なっていく方針ですので、いくらインフレになろうと、点数は物価上昇より抑えられるのは当たり前の話ですし、その中で給料だけあげていくのは不可能です。事実、大病院はどんどん赤字に向かっています。
医師会が頑張っても、医師会や社会保障に対する国民の目も厳しくなってきており、相対的に医療従事者の給料は下がっていくことは容易に予想できます。
(ただ社会インフラとしては絶対に必要ですし、外科系医局に入局する人はどんどん減っている中、どのような対策を国は打ち出してくるか、そこには大変興味あります。)
そこで私は歯科医師としての成功を一旦あきらめて、もっと人の価値を見つめなおそうと人材コンサルティング会社を設立しました。
これから医療者も含めた「人の価値」をあげるような社会的ムーブメントを巻き起こせればと思っています。日本の医療者の技術は世界トップレベルと信じています。
もちろん起業は全員ができることではありません。
会社を設立せずとも大胆な転職で別業界に行くのも全然悪くないなと思っています。実際に多くなってきています。
大病院での職務経験は新たな視点を企業に与えるかもしれません。
ダメだったら戻ればいいんですよ。
人生は1度きりなので、ちょっと違ったことするほうが刺激的でいいのかもと思ったりしています。

株式会社Innovation Careers Lab.
元大学病院勤務歯科医師、歯学博士、口腔外科学会認定専門医 
楢原 峻
キャリアプランにお困りの方はご相談ください。
https://invcareers-lab.co.jp/service/career/










この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?