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見えない経費いろいろ 〜農業エトセトラ〜

「今まで、後継者がいて物事は継続するということが当たり前だったけど、これからは”継続が当たり前”ではなくなってくるから、今の高齢者は困惑してるのかもね。むしろ、40、50代以下は危機感強いのかも」
そんなような話が飛び出してきて、そうかもな〜と思いました。

管理している圃場には、いろいろな経費がかかっています。
今回はその一つである【水利費(賦課金)】について。
水を利用する稲作では、用水路から取水している水に対して賦課金(税金)を
面積当たりで支払っています。
よって、勝手に用水路から水を引いて利用している場合は、問題になります。
知らずに利用している人は、結構いるのではないかな…と思われますが。
農業用水路を未来に渡って利用するための事業費を、未来の分の負担として分割して支払う、というのが農業用水路を利用する者の義務です。
洪水を防いだり、雨水の排水にもなっているので、治水にもなっていますね。

この賦課金、稲作を未来永劫継続していくことが前提になっているので、今後、社会変化が大きく起こった時に波乱含みなのではないかな、と思います。
地目が「田」である土地に対して掛かる税金ですが、地目が「田」でなくなったからといって、個人で勝手に支払いを停止出来ません。
未来に支払う予定だった賦課金(税金)を精算しないと、ずっと請求されます。
自分の勝手で止められないのです。
土地改良法と土地改良区地区除外処理規定で定められているからです。

「この土地は地目が【田】ではない」、と農業委員会に地目変更を指示されたとしても、土地所有者が用水路の管理組合に申告しないと、賦課金の支払いは継続します。

でも、そんな事はあらかじめ誰かが説明してくれるわけではありません。
田んぼを辞める、とか田んぼを相続した時、などのピンチの時に降りかかってくるのではないでしょうか。
新規就農者に説明されているのかな?
就農の入り口で耳障りの良い言葉をたくさん聴いて、いざ稲作から身を引く、
となった時に「田んぼを辞めるなら用水路の賦課金支払ってね」とか
言われるんでないかな…。

(他の業種にもあるとは思いますが)農業にはこういった、目に見えない
(見えづらい)経費というのがあります。
農業は補助金まみれ、というのを耳にしたことがあります。
確に補助金制度はたくさんあると思います。
もっぱら大規模農家に対して手厚くなっているので、私が使えている補助金は少ないとも思います。
それにしたって、小規模農家の私にも補助金の恩恵はある訳です。
補助金の恩恵から自立するために、掛かる経費を販売価格に転嫁したら、
日本産の農産物を日本人が買うのは難しくなるでしょうね。
一般的な世帯収入の平均を目指していては、農業にかかる経費を賄って暮らすのは大変だと思います。

だから、農業はするものではないよ、という帰結ではないのです。
今までの「同じことを継続して当たり前」の視点から脱却した農業経営を
目指さないといけない、としみじみ思うのです。
未来の食糧供給を考えて、持続可能な農業の仕組みを構築しなければ、と思うのです。
でも、答えが出ていません。
「今できることは稲作スキルを上げること」と割り切ってきましたが、
「稲作7年目、そろそろ動き出さないと」、と思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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