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チョコレートブラウンの板塀のある家

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記憶の中の人達 愛理の思い通りには動いてくれません。
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2024年7月の記事一覧

チョコレートブラウンの板塀のある家 総集編

はじめに これは、作者愛理が、雄介を主人公に仕立て、大部分が実体験を元に文章化したものです 文中時々、登場人物が主人公になる場面もありますが、基本雄介の人生と思ってください 未成熟な雄介の人生に何が起きるのか?雄介の心の中を覗きながら記してみました 30代、50代、60代の雄介が登場します。 自分では至って普通のつもりで真面目に生活するが、他の人を思いやる筈が自分の気持ちが先に走ってしまう、何故か間抜けな雄介です 読んでみてくださると嬉しいです チョコレートブラウンの板

チョコレートブラウンの板塀のある家 最終章

前の記事 第二の人生を考える雄介 雄介は、ロス出張から帰りクリーニングバッグにジャケットとパンツを入れて美恵に渡した。 今回の出張は、雄介が希望しての会議だった。時代の流れとともに、有能な若手が台頭してきて頼もしい限りであるが、机上で印鑑を押すだけの日が来るのも怖い。 役付なので定年は無いが、雄介は、この出張を会社人間としての総括と決めていた。母や叔父の最期を見ていて、身体が自由に動くうちに好きな事をしようと思った。 子供達が巣立ち、それぞれの家庭を持った時、同居は

チョコレートブラウンの板塀のある家 8

前の記事 啓介の葬儀 叔父の啓介が亡くなったと報せを受けたのは母のアキヨが逝ってからしばらくしてのことだった。 叔父の葬儀は、チョコレートブラウンの板塀の中で執り行われた。従兄弟の実や叔母の時とは違い、雄介達も招かれた。 叔父は、とても穏やかな顔をしていた。はとこ達が寂しそうに叔父の棺を囲み、花を手向ていて、雄介達もそれに加えてもらった。誰からともなくすすり泣く声が聞こえた。 葬儀の後、赤木家の末子(三男)からこの家を壊すと聞かされ、雄介は、なんだかもったいないよう