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僕の聖愛日記 過去編⑦

それからB子とは家が近いこともあり頻繁に逢瀬を重ねた。

B子は彼氏がいたので、彼女の部屋より必然的に僕の部屋で過ごすことが多くなった。

もちろんセックスもそうだが、お酒飲んで好きな音楽聴いて、語り合う。
インドア派の僕には幸せな時間だった。

あの曲弾ける?
弾けるよーみたいな感じで、楽器を弾いてる時の彼女の視線が心地よかった。

季節は2014年6月

フェスの話で盛り上がり、フジロックに行きたいという話になる。

2人で見たいアーティストを精査した結果フジロック2日目となった。

僕の目当てはARCADE FIRE/TRAVIS

B子の目当てはバンアパ、マンウィズだったような..

その年も豪華なラインナップだった気がする。

一般予約でまだ駐車券付きチケットの空きがあったのでポチッとな。
本当は三日間行きたかったけど、B子の仕事の都合で1日だけになった。

チケット予約完了が終わり、嬉しそうにしているB子が愛おしくなり、また抱いた。
幸せだった。

もちろんフジロックの楽しみもだが、僕はB子と遠くにお出かけできることも楽しみだった。しかも大好きな音楽フェスに。

セックスが終わると、
当日の持ち物を確認したり、タイムテーブルで見るアーティストの順番を一緒に考えたりあーだこーだ言いながらまたお酒を飲む。

そうしてるうちに、そろそろ彼氏が帰ってくる時間だから帰ると言われ駅まで送って行くために一緒に家を出た。

駅までの道中、他愛もない話をしたと思う。

これもまたいつもと同じ日常だ。

彼女は歳の割に(失礼)子供っぽいところがある。
急にかけっこしようといい走り出したり
野良猫を見つけては、手なづけようとしゃがみ込んでおいでおいでをしたり。
そういうところも好きだった。

でも、彼女には彼氏がいる。
その既成事実が僕を現実に引き戻してくる。

初めて飲んだ日に色々彼氏の愚痴や葛藤を聞かされた時に、なんで別れないのかと聞いたことがあった。

B子曰く、以前結婚生活をしてる時に今の彼氏と不倫関係にあり、それがバレたのをきっかけに家庭を捨て今の彼氏との道を選んだらしい。
ところが蓋を開けてみれば、結局同じことをされ、自分も同じことを繰り返していると。
因果応報のツケだから本当に幸せになれる人が見つかるまでは別れないことで、罰を受け入れてると言われたことを。

その言葉が、いつも脳裏にチラつく。

僕も最初の奥さんとは、自らの不貞で関係を壊してしまった。

僕にも自業自得因果応報の人生がいずれ来る

そう思うといつも温かい彼女の手を握っていても心は凍りついていた。

上辺だけの都合のいい関係。

彼女とはそれでいるのが幸せだと
そう言い聞かせていた。

ほどなく駅に着くとB子はいつもと同じ笑顔で
ありがと、また連絡するねと言って改札をくぐる。

いつもは彼女が見えなくなるまで見送ってから帰路についていたのだが、この日は手を振るとなぜかそそくさと踵を返し、帰路についた。

色々な思いを引き連れて。

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