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今年一番心に刺さったマンガ第1候補│マンガ 路傍(ろぼう)のフジイ

最近、「路傍(ろぼう)のフジイ」なるマンガを知りました。
内容は、人間ドラマでたんたんと話が進んでいきます。
面白い!次どうなる?といったジェットコースターみたいに次々に話が展開していくマンガではないです。
でも、最近読んだマンガの中で「あ、これ好きだな」と思えるマンガでした。
せっかくなので感想を投稿したいと思います。

ざっくり出だしを

将来に漠然とした不安を抱える会社員、田中は、休日に同じ職場の藤井を見かける。
藤井は、田中が「あんな風にはなりたくない」と思ってる、面白味のない中年男。
ひょんなことから田中は藤井の家に訪れる。
すると、本棚には、いろいろな趣味の本。
昆虫の飼い方やDIY、水彩画の本もあった。
藤井は多趣味で、人生が楽しいと田中に語る。
しかし、田中は、藤井の強がりにしか聞こえない。
どう見ても藤井は、孤独でズレているだけの男にしか見えないのだ。
田中は、部屋の隅に置いてあったギターを藤井に弾いてもらう。
そして、藤井の下手な弾きがたりを聴いて田中は気づく。
田中がつまらないと思っていた藤井は、自分に正直に生きる心豊かな人だった。

とまあ、こんな感じで始まるのですが、そんな藤井さんに関わると、周りはいい方向に影響を受けてしまうんです。

藤井に心許すひとびと

藤井さんの家にしょっちゅう通うようになった田中。
そして、パパ活している職場の美人、石川さんも田中と一緒に藤井さんの家に遊びに行くようになります。
この二人の他も藤井さんとすれ違う人々は、少なからず藤井さんから影響を受けていきます。
友達が欲しくても、距離感がずれている青年。
詩をこっそり書いているライターなど。
それぞれ何らかの迷いや悩みを抱えていても藤井さんの一言で前に進んでいきます。

そんな、藤井さんの魅力は、どこにあるんでしょうか?

私が感じるところを書いてみたいと思います。

自分をジャッジしないフジイ


藤井さんは、とにかく自分を(良くも悪くも)評価することがありません。

人に孤独だと思われてもまったく気にする様子がなく淡々としています。
ひとと比べて優越感を得たり劣等感にさいなまされたりするところがありません。

人にどう思われていても自分さえ自分を理解していればいい。そんなスタンスです。

人をジャッジしないフジイ


藤井さんは、ひとがどんな人物であるかを気にして接することがないです。
だれに対してもフラットで淡々と自分の意見を述べて、親切にすべきときはただ親切にします。

ここが藤井さんの近くに来て通り過ぎていく人には心地よいのです。

ただ、特別な関係になることは出来ずに、ときに人を傷つけてしまうこともありますが。

やりたいならやればいいと思える

藤井さんは多趣味ですが、どれもうまいとは言えないレベルです。
家に立ち寄った田中から見ても、絵も下手、陶芸も下手、歌も下手、ギターも下手です。
それでも藤井さんは、まったく気にする様子がありません。下手な絵や陶芸を見られるのに恥じることもありません。
そしてリクエストに応じて堂々と下手な弾き語りを披露します。

思えば、趣味ってもともと、そんなもんです。
ヒマな時間を埋めて生活を豊かなにすればいいものです。
それが、それなりのレベル、人に教えられるレベルとか、ネットで情報発信してマネタイズできるレベルとかを目指してしまうと、自分がどのレベルなのかを気にするようになります。

そうなると趣味でやっていることもタスクになってしまい、ただやることからやるべきことになってしまいますよね。

「ここまで行きたい」
そう思ってしまうとほかにやりたいことは後回しになってしまいます。
つまり、楽しさの先送りをしなければなりません。

藤井さんはそのときそのときで楽しいと思えることをやっています。

凡人がいい


偉大なる凡人からの便り

ビックコミックのサイトにある路傍のフジイのキャッチコピーです。
偉大なる凡人。
一見矛盾するかのように思えるキャッチコピーに藤井さんの魅力、それから幸せとは何か、の答えがあるように思えます。

思うに何者かになろうとしてもがいているときこそ苦しく、自分のままありのままにいるときが充足感を得ているように思えます。

忘れそうになっていた大事なことを思い出させてくれた漫画でした。


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