見出し画像

[読書]心の病気ってなんだろう?

■概要
精神疾患の症状や患者の中で起こっていることについて中学生向けに書かれた本。

■気になった部分
〇統合失調症 
主な症状は幻聴、妄想。思春期-青年期にかけて発症が多く、患者は「いい子」だった傾向が強い。
「いい子」であったことから主体的に何かできる、と言う感覚が少なく、主体的な自分がない、と感じるようになり、しっかりとした自分を見出そうと行動的になる。それが焦りにつながり、自律神経症状を発症。また、頭の中が騒がしくなる。なんの脈絡もない言葉が浮かんでくるなど。次にいろんなものが目につくようになり、意味ありげに感じられるようになる。次第に何かに接し、そこからメッセージを感じ、何かに気づいた感覚になる。

妄想自体は回復過程とも言え、完全に妄想を取り除くのではなく、薬で頭が騒がしい状態は抑制しつつ、妄想を聞いてもらう場を作ると、安全な環境で他者に自分のことを聞いてもらうという体験がつめる。

どんなに激しい妄想があっても、患者にはしっかりした部分があることを忘れないようにする。

〇躁うつ/うつ病
視点が未来を向いている統合失調症に対し、過去視点なのが鬱。
うつ病という概念は近年拡大していて、生涯有病率は10%。製薬会社のキャンペーンが一因とも。

古典的なうつ病は真面目、几帳面な傾向があり、メランコリー型の性格と呼ばれる。
ルールや秩序が好きな傾向にあり、自分で作り上げたルールにがんじがらめになることをインクルデンツと言う。
また、自分で定めた目標を達成しようとするが、それを繰り返すとある地点で上限に達する。そこで自分自身に遅れをとった感覚になることをレマネンツと呼ぶ。
インクルデンツ、レマネンツが限界に達し秩序が崩れることでうつ病を発症。

うつ病になると時間感覚が遅くなり、自分だけがついていけないという感覚、何もできないという気持ちになる。
時間が止まった感覚にまでなると未来がこなくなり、過去に比重が置かれて、これまでの失敗に目を向け、自分は罰せられると思うようになる。

躁うつ病は逆に時間がどんどんすぎていく感覚で、話も飛んでいく。周りが遅く感じ、イライラする。
元々は周囲と調和しやすいタイプだが、グループ内でうまくいかなくなると発症することがある。

「現代の鬱」は過労やストレスに対する鬱状態で周囲からの理解が得られづらい傾向にある。終身雇用がなくなり、未来が、揺らいでいることも要因。

安定して働ける職場がなくなり、派遣など切りやすい労働形態が増え無能な社員を辞めさせたいという流れのなかで、そのような人間を炙り出すため新型うつ病という呼ばれ方で区別されている側面もある。

〇PTSD
人は強いストレスを感じた時、繰り返し再生したり、語り合ったりすることで処理しようとするが、不意打ちでトラウマとなる出来事に接すると、即座に処理できずptsdとなる。

〇アダルトチルドレン
家庭の中で子供ながら責任を負う、なだめる、順応するというパターンで大人のように振る舞わなければいけず、生きづらさ、空虚感を持つ

〇いじめ
「名づけ」には常識外の仕打ちをできるようにする働きがある。例えば「ウジ虫」のような名前を付けることで実際人間なのに人間ではないように錯覚し、普通はしないようなことをしてしまう。

■感想
全体的に真面目、繊細であることが原因になっているが、なんで真面目が損するんだろう、みたいな気持ちになる。不真面目、度が過ぎて性格が悪いことが理由で病気になる人はいないので。

あと「いじめ」が病気の一項目に入っていたのが印象的だった。確かに本来必要のない攻撃を加えるいじめ加害者の方が病んでいると言える。

異常に見える症状も、ひも解くと回復過程、通常の心の動きであるという筆者の言葉で精神病へのイメージが少し変わった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?