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仕事を冷静に見つめる:「やりがいのある仕事」という幻想【本紹介】

■概要
小説家である著者が「これからの働き方」をテーマに書いたエッセイ。

■印象的な部分
・人は働くために生きているのではない
労働していなくても、基本的人権は無条件で認められるはず。
働いているから偉い、働いていないと可哀そう、といったことはない。
「稼ぐ者が偉い」という考え方は産業革命でごく一部の人間が稼ぎ、社会を支配するようになったことで広まったもので、大昔からあった考え方ではない。

・仕事はすごいもの、というイメージが作られている
「国を動かす」「未来を築く」といった言葉で仕事がすごいものだというイメージが作られている。
ただそのような仕事も立場上、大きなお金を動かせるだけで個人として偉いわけではない。巨大な橋の建設に関わった人は大根を毎年収穫する人より偉いとは言えない。

・人は何で評価されるのか
何で人の価値が決まるのかは、人それぞれ。自分がどれだけ納得できるか、自分をどこまで幸せにできるかが人の価値。また、その価値も自分で評価すればよい。

・自分にとっての成功を知る
人それぞれ生き方が違う。成功したいと考える前に、まず自分にとってどうなることが成功なのかを考えることが重要。
質素な生活で良い人は適当に働いてのんびり生きれば良いし、贅沢な生活がしたい人はどんどん稼げばよく、どちらが勝者、敗者というのはない。

・理想と現実のギャップで辞めたくなる
「仕事は楽しいものだ」という幻想を抱いていると、ちょっとしたことが気になり、何とかしなければ気持ち悪い、と思ってしまう。悩んだら、自分が抱いていた理想に無理がないか考え、妥協できないか探る。また、仕事を辞める人は本当は「長く働かなければいけない」と考えており、「迷惑がかかるから辞めた方がいい」という思考に転じて辞めてしまうものである。

■感想
・最初の会社に入って辛くなった時にに手に取り励まされた本。
もちろんこの本を読んですぐ何かが解決できる訳ではないが、「仕事」に価値を置きすぎていないか?と一歩引いて冷静になれる。

・著者が全体的に冷めた目で見ているため、「人は働くために生きているのではない」という一方で「やりたければもうやっているはず」などの耳が痛い言葉も並ぶ。それでも仕事で苦しんでいる人、モヤモヤしている人にとっては心が楽になる言葉なのではないかと思う。


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