見出し画像

不思議な話 【猫】

これは私が小さい頃の体験です。

その頃はまだ玄関の扉は開け放して生活をしてるような時代で、ご近所さん達の玄関も昼間は開いてました。

マンションの1階に駐輪場と子供の遊び場があり緑も多くて、野良猫が沢山居ました。

ある日、母がマンションの下で見慣れないキレイな猫を見つけました。  左右の目の色が違う、額に三日月の傷がある、とても賢そうな猫だったそうです。

赤い首輪がついていたので迷子かな?と思い、とりあえず可哀想だとご飯をあげました。

するとそのまま後をついてきて、勝手に家の中にまで入ってきました。


その日から不思議な猫との共同生活が始まり

朝にうちでご飯を食べる→そのままどこかに行く→夕方勝手に家に入ってご飯を食べてうちで寝る

という流れになりました。

キジトラの不思議な猫に、父は【クロ】と名付けました(謎)


クロは何故か私に1番懐いてくれ、何かにつけて私に絡んできました。もしかすると前の飼い主さんに似ていたのかもしれません。

父、私、母、妹の順に一部屋で寝ており
妹の足元に部屋の入り口があったのですが
妹、母をそっと乗り越えて私の近くによく居ました。

毎朝6時ピッタリに私の枕元までやってきて、前足でちょんちょんして起こしに来てたので、本当に賢い猫だったなと思います。

(当時私は7時起きだったのと、まだ幼かったので凄く迷惑でした 笑


そんな生活が数ヶ月続いたある日の夕方

珍しくクロは帰ってきませんでした。

自由な猫なので、ついに出て行ったかー?と皆は特に気にする事なく
私は寂しいなぁと思いながら



翌日、朝早くに目覚めるとご近所さん達と母がマンション下で騒いでいました。

急いで見に行くと、クロが亡くなっていました。

マンション横の道路で車に轢かれたようで、体を引きずりながら家に帰ろうとした痕跡がずっと続いていました。

ご近所さん達も、家に帰ろうとして一生懸命頑張ったんやね、お墓作ってあげようね、綺麗にしてあげようねと声を掛けてくれました。


私は悲しみのあまり涙が止まらず
泣いて泣いて泣きまくって、3日間泣き続けました。

悲しみはなくなりませんが、4日目の朝は泣きませんでした。


4日目の朝、落ち込んでいる私に母は

『洗濯物干すからこっち来て手伝ってー!』と言い
『はーい!』と返事をしながら母の元へ走って向かいました。

向かう途中にある父の部屋を走りながら何気無く見た時に

部屋の真ん中にクロが座ってこちらを見ていました。


『え!?』と驚きつつ、走る勢いがつきすぎて部屋を通り過ぎてしまいました。すぐに戻って見た時にはもうクロの姿はありませんでした。

幼いながらに私は

【そうか…私が毎日泣いてたから、心配で天国に行けなかったんやね…。
でももう大丈夫!私はもう泣かない!だから安心して天国に行ってね】
とクロに向かって伝えました。

このクロとの経験は、大切な事に気付かせてもらえた出来事でした。
今でも感謝の気持ちで一杯です。


私は愛犬も病気で亡くしましたが

このクロとの経験があったお陰で深く落ち込む事はありませんでした。

大切な存在を亡くされて、悲しみに暮れる方が少しでも楽な捉え方になれば幸いです。


他にも不思議な話を書いていますので
怪談や不思議な話が好きな方は、アメブロを見ていただけると嬉しいです。

最後までお読みいただきありがとうございます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?