フィクションでよく見る「幼い男の子を女の子として育てる」という風習について思う事
フィクションの世界だと、よく「厄除けの為に男児を女児として育てるという伝統があって…」という流れで、中性的な美男子キャラが出てきたりします。
私が好きな漫画、鬼滅の刃でも、お館様がそのように育てられたという描写がありました。
西洋・東洋問わず、実際に似たような風習があった地域もあったと聞いたことがあります。
病気や事故などの厄災を防ぐため、悪魔に命を取られないようにするため、生命力が男の子より強いと信じられていた女の子の恰好をさせる…、ということらしいです。
(実際のところはわかりません。)
「なぜ、やんごとなき身分の男の子に女装をさせて育てるのか」という理由について、やんちゃな甥っ子(4歳)を1週間預かっているうちに、ひらめいてしまいました!
もう、これしか正解が思い浮かばない!!!
男の子本人が「男らしさ」のプレッシャーを感じずに済むようにするため。
3歳前後の小さい子どもでも、言葉を喋るようになってくると、男としての振る舞いと女としての振る舞いの違いを肌感覚で理解し、自分も周りに期待されるとおりの人になろうと学習し始めるようです。
「女の子として育てられる男児」は、良い家柄出身で、将来は多くの人をまとめるような地位に着くことが期待されているイメージがあります。
男性集団のリーダーとして期待されている事として、勇敢さ、積極性、快活さ、逞しさ、決断力、実行力などがあげられます。これらの能力が自分にあるという事を、小さいうちから男の子が頑張って示そうと無茶な振る舞いをしてしまうことがあるんじゃないかな…。
例えば…、
・勇敢さを示そうとして、高い所から飛び降りてみる。
・積極性を示そうとして、知らない他人や動物にもどんどんと近づいていく。
・快活さを示そうとして、ちょっと体調が悪くても気にしない。言わない。
・逞しさを示そうと、重い物を持ち上げようとする。
・決断力を示そうと、無茶な挑戦をしてみる。
・実行力を示そうと、大人を驚かすいたずらを仕掛ける。
などなど…。
無邪気で無害なものもあるかもしれないけど、「男の子としてほめて欲しくて無茶をしてしまう」って、危険な事もたくさんあると思います。
(保育園で既に男児らしい振る舞いを学んでしまった甥っ子も、一生懸命に『勇敢さ』を示そうと、せっせと危ない事に挑戦したがります。高い所に上る。水辺では必ず水に入りたがる。口いっぱいに食べ物を頬張って飲み込もうとする。不安定な場所でのでんぐり返し…など。「見て!見て!」「できるよ!」「すごい?」と、ドヤ顔で披露しようとしてくれますが、こっちは真っ青になります。姪っ子にはこういう振る舞いが見られなかったので、どうしても比べてしまいます…。)
本人は、周りの人達に「すごいね!」「さすが男の子!」と褒めてもらいたい一心で、頑張って男の子らしさを示そうと努力した結果、不幸な事故が起きてしまう可能性は有ると思います。
その点、女の子として育てれば、本人が「男らしさを示さなくちゃ!」というプレッシャーを抱く必要がなくなるので、積極的に危険な行動をとるリスクを減らす事ができると思います。女の子として、家の奥で育てる事によって、たくさんの人と会う機会が減り、感染症にかかるリスクも減らせるかもしれません。
また、身なりをきれいに整える、人の話をよく聞く、些細な事にも気を配る…など、女の子に求められがちな能力って、リーダーになったら必要なものでもあると思います。
男児が自ら危険な行動をとらなくて済むようにすることは、男児の親だけでなく、男児の周辺で生活をしている全ての人達にとって好都合だったのではないでしょうか。
そもそも、昔は今より厳しい階級社会だったし、下の身分の人達の命や人生は、上の身分の人達のそれと比べて、軽く扱われてしまっていたかと思います。人の命が平等な社会じゃなかった。
女装姿で育てられる男児は、良い家柄出身の男の子で、きっと従者や乳母などが周りにいる環境だと思います。
もし、この男の子の身に何か不幸な事(大怪我・病気・死)が降りかかれば、乳母や教育係、護衛としてかかわっていた人達は、きっと理不尽な裁きを受けて、悲惨な形で責任を取らされていたかもしれません。文字通り首が飛んだかもしれないし、死刑にならなくても、お家断絶とか…。少なくても、不幸が起きた原因を科学的に究明しようという事にはならなかったと思います。
なので、まず男児に不幸な事柄が近づかないように周りの人間が、とことん気を配ったと思います。
不幸な事柄を物理的に近づけないようにさせる、一番効率的な方法が「女の子として育てる」だったのではないでしょうか。本人が危険を自分で予測できるだけの判断力が身に付くまでは、女の子として育てるという方法は、現代から見ても合理的な方法のように感じます。
うちは良い家柄ではありませんが、甥っ子も、小さいうちから女の子として育てれば良かったかもしれない…、と後悔するくらいに、「男の子の子守って大変だ!」と実感した1週間でした。
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