見出し画像

過去 【詩のようなもの】




まるで自分の意見が言えなかったのだ。


心が、唇が、彫像のように固くなり、

人に、物が言えなかった。

何を恐れていたのだろう?


常に、何かを恐れていた。



まるで何かを恐れることが義務だった。


私という人間の義務だった。

なんと、おぞましい心根だ。

何が私にそう思わせていたのだろう?



あのことはもう過去だ。

そのことももう過去だ。

どのことを言っている?

それらはみんな過去だ。



過去は戻らない。
戻すことはできない。

過去には行けない。
行くことはできない。

いずれにしろもう触れることはない。
触れることはできない。



それはもう、
写真の中には入っていけないのと同じこと。


それはもう、
古いオルゴールが音を飛ばすのと同じこと。


色褪せた過去、
そんなものはもう要らないということ。


鮮やかな今、
見つめるのは今しかないということ。








この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?