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期間限定イタリア菓子-Chiacchiereについて

イタリアには1月下旬になるとお菓子屋というよりは主にパン屋に姿を現すChiacchiere(発音: キアッケレ)というお菓子がある。

※Chiacchiereの由来

伝統としては、「古代ローマでカトリック教会のカーニバル(2月)に相当する時期に作られた、動物の脂肪で揚げたお菓子、frictilia(※)に遡る」そうで、実際、今時期多く出回っているお菓子である。


イメージ: Chiacchiere 揚げバージョン
イメージ: Chiacchiere 焼きバージョン

※ChiacchiereとFrictiliaの違い

違いはたくさんあるそうだが、主には、、、
Frictiliaラードで揚げる。ラードは自家製で、今日のものよりも風味が強く、塩辛かった。砂糖は使われず、蜂蜜と、胡椒、ケシの実が振られ、その後シナモンも振られるようになった。食感も少し柔らかめ。
Chiacchiere植物油脂で揚げる。その上に粉砂糖をまぶしたり、蜂蜜、チョコレートがかかっているものもある。

※伝統か変化球か

私がイタリアに引っ越した十数年前(気づけば、十数年と言っても、その後半になっているから恐ろしい)には、ミラノでは若干ヘルシーなオーブン焼きバージョンが出はじめた頃で、揚げと焼きの両方を試した結果、個人的な趣味から、常々オーブン焼きの方を購入している。また、チョコレートは食べられないので(食べたら目が開けられなくなる。それほど酷いアレルギーなのだ)、粉砂糖のものに限って購入している。
ただ、伝統的には揚げ菓子であるのと、イタリアは食べ物についてはかなり保守的な国のため(その辺がフランスとは大きく違う。スターバックスが上陸したのは恐らく西欧で一番最後だ)、郊外の街に行けば焼きバージョンはないかもしれないし、ミラノでも手に入る場所は限られている。
ちなみに、スーパーで売っているものは殆どが揚げバージョンだが、自然食品のスーパーでも油の質が悪いので、質より量という方以外は買わないほうが良いと思う。

※地域による名前の違い

このお菓子は、イタリア各地で呼び名も見た目(たまに)にも違いがある、ミラノでも別名がついて売られている場合もあるので、幾つか例を挙げてみよう。

・PiemonteとLiguria州
 →bugie(発音: ブジエ)、中にジャムやチョコレートなどの詰め物をしている場合もあり、その場合はRavioliのような正方形に近いかたちで一般的な長方形ではない。ちなみに、「嘘」という単語がbugiaで、bugieはその複数系だ。
・Toscana地方→cenci (発音: チェンチ)
・Trentino・Alto Adige、Friuli Venezia Giulia地方→crostoli(発音: クロストーリ)

ミラノでは全く見かけないが、他の主要都市での呼ばれ方も載せておこう。
・Lazio(Roma)→frappe (発音: フラッペ)
・VeneziaとVeneto州の広範囲→galani(発音: ガラ―二) 

※レシピ例

折角なので、コメントが結構ついている揚げバージョンのレシピを付けておこう。

材料(約40個分)
・薄力粉 500g
・白砂糖 70g
・常温のバター 50g
・グラッパ(蒸留酒) 30g --- なければブランデーでもいいと思う
・卵(中) 3個
・ベーキングパウダー 6g
・バニラビーンズ 1本
・卵黄 1個
・塩 1つまみ

・揚げ油としてピーナッツ油 適量
・粉砂糖 適量

作り方
1.小麦粉とベーキングパウダーをふるいにかける。砂糖、塩、溶き卵、卵黄、グラッパを加え、材料がよく混ざるまで撹拌機でこねる。

2.バニラビーンズとバターを加え、均質になるまで15分間こね続ける。必要に応じて5~10gの水を加える。生地を作業台に移し、手早く球状にする。

3.生地をラップで包み、室温で30分以上休ませる。生地を手のひらで軽く平らにし、小麦粉をまぶして、ローラー(パスタマシーンのようなやつ)で一番広い厚さに伸ばす。

4.生地の短辺を中央に向かって折り、再度、ペストリーカッターで2mmの厚さになるまで薄く伸ばす。伸ばした生地を数分間休ませ、その間に油を150~160度に熱する。5x10cmの長方形に切り抜き、長辺と平行に2本の切り込みを入れる。

5.油が適温になったら、2~3枚の生地を油に浸し、きつね色になるまで両面を返しながら焼く。吸水紙の上で油気を切り、冷めたら皿に盛り、粉砂糖をたっぷり振りかける。

イタリア語の某料理サイトから取ったレシピを意訳

私の家の近所のパン屋でも、なかなか美味しい焼きバージョンが売られている。ケーキと違って値段が安いし、1枚から買えるので(1枚約70セント位だ。良心的で気に入っている。ちなみに中心地は1ユーロ位だと思う)、普段はパンはほとんど食べないが、この時期だけ通っている。

うちの近所のChiacchiere 

去年は友達のお母さんのお手製の焼きバージョンをもらった。友達(生物学上の性別は男)はかなり細身で、176cmで体重が52-3kgなので(周りには私しか彼より明らかに軽い人はいないらしく、ズケズケとレディーに向かって体重を聞いてきた😂)、お母さんの作品もかなりヘルシーで上品な味だった。レモンピールが効いていて、粉砂糖もかかっておらず、何枚でも行けそうな味付けだった。

ベースのレシピを参考に、自分だけのオリジナルを作るのもありかな、と思う。
私は、いつか時間があれば、紅茶味を試してみたいと思う。勿論、焼き(al forno)の方で。

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