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漫画からアイヌ文化について触れてみませんか?

アイヌ文化で読み解く「ゴールデンカムイ」


作者

中川裕(なかがわ ひろし)
1955年神奈川県生まれ。千葉大学文学部教授。東京大学大学院人文科学研究科言語学博士課程中退。1995年、『アイヌ語千歳方言辞典』(草風館)を中心としたアイヌ語・アイヌ文化の研究により金田一京助博士記念賞を受賞。野田サトル氏による漫画「ゴールデンカムイ」では連載開始時からアイヌ語監修を務める。

 目次

序章  アイヌ文化に人々を惹きつける「ゴールデンカムイ」の魅力
第一章 カムイとアイヌ
第二章 アイヌの先祖はどこから来たか?
第三章 言葉は力
第四章 物語は知恵と歴史の宝箱
第五章 信仰と伝説の世界
野田サトル先生描き下ろし オリジナル漫画
第六章 「ゴールデンカムイ」のグルメワールド
第七章 「ゴールデンカムイ」名シーンの背景
第八章 アシリパたちの言葉 アイヌ語とは
終章  アイヌ語監修というのは何をやっているのか?
付録 「ゴールデンカムイ」をより楽しむためのブックガイド

ここがポイント!

第3章 言葉は力

 本書はアイヌの文化について人気漫画『ゴールデンカムイ』をもとに丁寧に解説されています。第1章のカムイや他の章のアイヌの食文化についても日本の文化とは異なるところで読んでいただきたいところです。多文化共生という面では第3章を読んでいただきたいと思います。特に、争いの解決の仕方については昨今の大統領選挙やウクライナ侵攻などを重ねたりしてみると考えさせられるものがあります。
アイヌの文化では言葉の力を大変重視しています。アイヌでは村と村で争いごとが起きた時、チャランケという裁判のようなもので村の代表者たちが弁論をもって決着をつけます。
 この中でのポイントは
・相手の主張をしっかりと聞くという事
・異なる考えにおいても討論するということはどういうことが必要か

ということです。
 私はこの章は非常に多文化共生に関して大切なことや基本的なことが凝縮されていると思います。読む際にはぜひ何度もこの部分は周りや日常を振り返ってみると良いのではないでしょうか。

読んだ感想

 アイヌ文化というくくりで読むのも面白いと思いますが、哲学書のようなものとして読んでも面白いかもしれません。人生の中で、ふだん言葉にできない感じることや考えていること、悩んでいることがなにかアイヌの文化ではうまく独特な世界観で解釈され説明されています。これを読んだとき、「ああ、あれはこういうことなのか!」と感じることがあるかも…?
 そして、なによりもマンガも交えながら説明されているので、本が苦手な人でも全然読める本だと思います。(『ゴールデンカムイ』を見てなくても大丈夫!!)
 ここまで見どころを書いてきましたが、まずは先入観を持たずこの本を手に取ってみませんか?

執筆者:坂下健太


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