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宝塚と『1984年』ーーオーウェル、フーコー、ドゥルーズ、ガタリ


とある宝塚のDVDを鑑賞したのですが、オーウェルの大著や哲学理論の要素がふんだんに盛り込まれていて感動しました。さきほど見終わったところで、まだうまく整理できていません。短めですし、散文的ではありますが、思ったことを記録しておこうと思います。


もともとは主演のトップスターさんのお姿を見たくて購入したDVD。タイトルからはどんな話か想像もつかなかったのだが、見始めてすぐに完全管理社会を描いた作品だとわかり、びっくりした。もともと大変興味のあるテーマだったので、まさかこんな形で出会えるなんてと嬉しく思った。

結論から言うと、私はこの物語と出会えて本当によかったと思っている。考えさせられ、悩まされ、最後には励まされる気持ちになった。観ている間にたくさんの学者の理論が頭を駆け巡り、脳をフルで使った感覚になった。ミッシェル・フーコー、ジル・ドゥルーズ、フェリックス・ガタリ………彼らの論点が見事におさえられていた。まさかフーコーのパノプティコンが出てくるとは。他にも、言語・文化・思考を均一にするという設定には、ジョージ・オーウェルの『1984年』の要素が多分に引用されていたように見えた。

これだけ沢山の要素を数時間の演劇としてまとめる技術、そしてさまざまな背景知識を持つ人たちに伝わる形へと落とし込む能力。こういった話を人に説明することがいかに難しいか。
宝塚の脚本ってほんとーーーーにすごい。すごい。すごすぎる。


物語の主軸としては、
・完全管理により人間の差異がなくなり、争いが生まれなくなった社会
・差異から生まれる愛や憎しみを背負って、皆でぶつかりながらも共存していく社会
この対立がポイントであったと把握している。

でも最後の問い「人間が均質ではなく、違いがあるから争いが生まれる……過去の辛い記憶や憎しみを背負ったまま、それでも平和は実現できるのか」に、何と言えばよいのか考え込んでしまう。直感的には「できる」と言いたいけれど、それを証明するのがいかに困難なことか。それを最後に主人公は思ったのかな、と。

この問いは人文科学・社会科学・自然科学の全てをもって考えなければならない壮大なものだと痛感させられた。私も、詳細は伏せるがちょうどその答えを証明する旅の最中だから、主人公と一緒に旅をしている気持ちになって励まされた。

この作品に出会えたのは、主演のあの人のおかげにほかならない。素敵な作品との出会いをありがとうございました。全編通してずーっとかっこよくてかっこよくて、もうどうしようかと思いました。最後にご挨拶されるときの涙にきゅんでした………


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