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コワーキングスペースなのに

1月の6日から9日に、南相馬に行ってきました。南相馬でまちづくりをしているMYSHという会社のインターンとして、初めて訪れたこのまちを歩き、商店街、交流センター、田んぼ、海、酒蔵を見ました。海岸のあたりは津波の影響で皮肉にも区画整備が進んだ広大な田んぼがあったり、使われない土地を有効活用するために黒いソーラーパネルが地面を覆っていたり、駅前のはずなのに人が戻らず売り物件、空き家になっているところを見たりと、いまだに痛々しい、震災の現状を垣間見ました。一方、少し移動するとむしろ新しい酒蔵にあかりが灯っていたり、コワーキングスペースが登場したりしていて、ぽつりぽつりと胎動が感じられる不思議なまちでした。

使われない土地にソーラーパネルが画一的に並ぶ光景をよく見た


あたらしく誕生した酒蔵 haccoba のお酒


2日目にNARUというワークスペースに行くと、そこではコワーキングスペースなのに、子どもが遊ぶためのスペースがエリア全体の3分の1ほどを占めていました。子どもの声が利用者の邪魔にならないのだろうかと思い、オーナーの方に聞いてみると、「利用される方にはあらかじめ了承を得てもらっていますし、そこまで邪魔になるようなことは無いんです。」と返ってきました。仕事場に子どもを連れてきてはだめだろう。という固定観念で、試してもみないくせに、みなさんの迷惑になる、邪魔になると考えていたのが正直なところでした。ですが実際にやってみたら、むしろそれがこのコワーキングスペースの特徴になっていました。
 利用者さんが働くのに適した環境をつくるとき、最大公約数的に便利な場所をつくるという方向に行きやすいと思いました。ただそうなると、もちろん周りから聞こえてくる音は静かな方がいいし、コワーキングスペースも働く人にとってのスペースが広い方がいいです。その方が誰からも文句を言われないからです。確かに、最大公約数的に便利な場所は誰にとっても便利な場所ではあります。けれども、みんなが本当に快適な場所かというと、そうではありません。私がイベントや場をつくる側になったときも、みんなに共通するもの、みんなから受け入れられやすいものをつくろうとしがちであることに気づきました。そのほうが多くの人が興味を持ってくれるし、何より応援してもらえそうだからです。けれど、そうやってできた場は案外つまらないものかも…と思うように。それより、誰かひとりにでも刺さってくれたらいいから、自分のしたいことをしてみる。それくらい、くせがあってもいいんじゃないかと思うようになりました。


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