見出し画像

CASE 6 上杉謙信(1530-1578)は脳卒中(脳血管障害)との戦っていました! 血液型がAB型の人は脳卒中のリスクが高い?

皆さんご存知の戦国武将のひとりである上杉謙信は、41歳の時に軽い脳梗塞と思われる運動障害を患っています。49歳で死去していますが、死因は脳出血であるという一説があります(あくまで一説であり嘘かもしれませんが)。

今回は上杉謙信と脳血管障害(脳卒中)というテーマでお送りします。専門家ではありませんがご了承ください。

CASE6  上杉謙信 死因: 脳出血の疑い


【症例】49歳男性

【主訴】突然の意識消失

【現病歴】
<背景>
戦国時代の武将。内乱続きであった越後国(今の北陸地方)を統一。
甲斐国を治める武田信玄と川中島で12年に渡り戦い続けた。
謙信は梅干しなどの塩分の多い食事を好み大酒飲みであった。
血液型はAB型。

<発症エピソード>
謙信は晩年の冬のある夜、酒をしこたま飲み寒い中トイレに行ったところ突然意識消失した。発見された時は既に昏睡状態であった。

【既往歴】
一過性の中風(脳血管障害などによる運動障害の昔の表現)

【診断】(あくまで筆者の仮説(妄想)です)
脳出血の疑い
脳梗塞の既往
高血圧の疑い

謙信は元々塩分の多い食事を好んでいたことから高血圧を患っていた。コントロール不良の慢性的な高血圧のため、脳動脈瘤が出現していた可能性もあり、寒冷刺激により血圧が一時的に上昇した。そのため発達した脳動脈瘤が破裂し脳出血を発症。4日間の昏睡状態が続いた後死亡が確認された。



考察

注意)本当にお前医者か??と思われる様なまとめ方で申し訳ないのですが、イメージしやすい様にと心がけている結果ですので許してください…

<脳卒中(脳血管障害)の一般的事項>
まずは言葉の整理ですが、脳卒中脳血管障害と同義語と捉えていただいて差し支えありません。
そして「卒中」とは突然意識を失うことを指すそうです。

・脳卒中(脳血管障害)は以下の3つに分類されます
 1. 脳梗塞・・・脳血管が詰まって脳細胞に血が行かなくなり脳細胞が壊死して様々な症状を起こす。
 2. 脳出血・・・脳の血管が破綻し、脳の内部に出血する
 3. くも膜下出血・・・脳の血管が破綻し、脳の表面と脳を包むくも膜との間に出血する

・上のいずれも最大のリスクは高血圧
・他に、タバコなどがリスクに該当
血液型がAB型が脳卒中のリスクが高いとの研究結果がある
脳出血については血液サラサラ薬剤やアルコールなどがリスクとなる
・脳出血の種類や部位は様々だが、書き出すと専門的になりすぎて読む気が失せると思うので割愛。
・当たり前のことだが、出血量が多ければより危険になり放っておくと死亡する。
・治療は内科的に薬剤による治療であったり、外科的に出血を取り除く治療が選択される。


いかがでしょうか?この中でも血液型と脳卒中の関係に興味がある方もいらっしゃるのではないでしょうか?


少し古い論文ですが、こんな研究があります

『AB型は他の血液型と比較して脳卒中のリスクが1.83倍』(J Thromb Haemost. 2014;12:564–570.)

ただし日本人をメインの対象にした研究ではないのでなんとも言えません。

ちなみにどうでもいい話ですけど私はO型です。


(他にも血液型と脳卒中の研究はいくつかありますが、話がややこしくなるので割愛。)



<そして謙信の場合>
○謙信が高血圧を持っていた根拠は?

・謙信は梅干し(塩分)が大好きだったそうです。
・謙信の治める越後国は、塩不足に悩む甲斐国に塩提供したという逸話があります(※現在はそれを裏付ける資料はないとのこと)。謙信の国にはそれほど大量の塩が蓄えられていたことが推察されます。
・さらに越後国の冬は寒く、血圧が上がりそう。

○他の謙信の脳血管障害のリスクは?
酒の飲みすぎ
・(さっきの研究を支持するのであれば)血液型AB型がリスクとなる

ところで、、、余談ですが

「(°_°)??  戦国時代に血液型??  わかるの??   」

って思った方も多いと思いますが、実はある研究者が謙信の『血判起請文』のカッピカピに乾いている謙信の血判を調べ、血液型をAB型と判定したとされています。

上杉謙信の『血判起請文』 左下の花押部分(サインにあたる部分)に血判あり




教訓 謙信と私からのメッセージ

・脳卒中(脳血管障害)の最大のリスクは高血圧
 →2019年日本高血圧学会ガイドラインによる降圧目標です。みなさんがどこに当てはまるかチェックしてみてください。

日本高血圧学会 高血圧治療ガイドライン2019より

・アルコールは脳出血のリスク
 →日本酒にして1日3合以上飲む人は脳出血のリスク1.6倍。(Stroke2004(35巻1124-1129))
 →お酒はほどほどにしましょう。

・コントロール不良の高血圧患者の寒いトイレは危険

・AB型は脳血管障害のリスクが高い???
 →それが事実であれば、血液型は意図的に変えることが出来ないので、ひたすら他のリスクを低減していく必要があります。
 現在は血液型に関わらず予防指針は統一されていますが、今後は血液型に合わせた個別治療が必要になってくる時代が来るかもしれません。今後の研究に注目です!



次回予告

次回は人気漫画『スラムダンク』より、安西先生を取り上げてみたいと思います。コミックス17巻で倒れ、救急車で運ばれるシーンが記憶に残っている方も多くいらっしゃると思います。彼が倒れた原因はなんだったのか考察してみたいと思います。次回はいよいよ情報が少なすぎてHaruくん妄想まみれで苦しい展開になるかもしれませんが、どうぞお楽しみに!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?