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CASE 16 アルベルト・アインシュタインは腹部大動脈瘤破裂で死去

(この記事は3分で読めます)

久しぶりの投稿

今回は相対性理論でタイムトラベルを理論上可能にした天才理論物理学者
("理論"というワードが多い)

彼は腹部大動脈瘤破裂で亡くなりました。


左 ブラウン博士の愛犬のアインシュタイン(世界初のタイムトラベラー) 
映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」より
このわんちゃんを連想させます 今回のテーマとは関係ないけど・・・

CASE 16 アルベルト・アインシュタイン 診断:腹部大動脈瘤


【症例】男性 76歳死没

【現病歴】
相対性理論を発表した理論物理学者。(彼の科学に関する記述は割愛)

食生活はチーズとトマト入りのマカロニスパゲッティやコーヒーを好物としていたとのこと。
1922年には日本に来日し昆布の佃煮を好んで食べた。

1955年4月(76歳)、イスラエルが建国7周年を迎えた時に携わったラジオ放送の打ち合わせ中に心臓付近の痛みを訴え倒れる。
その後医師からは腹部大動脈瘤と診断され、手術が必要と言われていた。
しかし本人が拒否した。
入院を継続していたが、症状発症から約1週間後に死去。

【既往歴】
アスペルガー症候群
高血圧症

【診断】
#腹部大動脈瘤破裂
#高血圧症

元々塩分の濃いものを好んで食しており、高血圧を患っていたと推察される。高血圧が持続し腹部大動脈瘤が徐々に拡大し最終的に破裂し死亡した。



考察

腹部大動脈瘤について

最も多い原因は加齢・高血圧・脂質異常・糖尿病などの動脈硬化とされています。その他大動脈の感染や大動脈の組織そのものの異常を来す疾患もあります。

症状は腹痛・腹部圧迫感などがありますが、それは動脈瘤がある程度拡大している状態であることが多く、なんと無症状のことも多いとされています。
「たまたま人間ドックで見つかった」、「たまたまお腹の検査で見つかった」ということも多いです。

大きくなればなるほど破裂のリスクが高まり手術の必要性が出てきます。

破裂すると胸痛、腹痛、背部痛などが突然現れ、破裂部位から出血が持続すればショック状態になり突然死することもあります。

尚、大動脈瘤は「腹部」だけでなく「胸部」にもできることがあります。


アインシュタインの場合

アインシュタイの場合も比較的急激な経過を辿っているます。
おそらく塩分過多による高血圧が持続している状態であり、症状の出ないまま徐々に腹部大動脈瘤が拡大したと考えられます。

画像元 慶應義塾大学病院 KOMPAS HPより引用

治療方法は手術です。お腹を開けて人工血管を留置することもあればカテーテルでステントグラフとと呼ばれる人工物を留置する場合もあります。




アインシュタインと私からのメッセージ

・今回の腹部大動脈瘤のキーフレーズは「無症状が少なくない」「突然死の原因の一つ」「動脈硬化の予防が大切」の3つです。

・これまでのCASEでも散々お伝えしていることですが、とにかく大事なことは病気を起こさせないための予防を徹底していくことです。しつこいですが・・・。

・「これまで病気したことないし、病院にもお世話になったことないんですよ」という方たくさんおられますが油断しないでください。世の中には無症状のまま体を蝕んでいく病気が沢山あります!


参考資料
日本循環器学会ガイドライン「大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン」




次回予告


CASE17はスタジオジブリ「蛍の墓」節子の死因です。節子の死因は栄養失調とされ色々なクリエイターが考察していますが、内科医の視点からも改めて考察します。

そして日本では縁遠い「世界の飢餓、栄養失調」にも少し触れたいと思います。



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