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【グロい話】真冬の真紅 [前編]

《本記事は、私がその昔、父から聞いた実話をベースにしています。この話はグロテスクであり、読むと気分が悪くなるかもしれません。従って、「怖い話」と同様、冒頭に注意書きを入れています。読んだとしても、多くの方には何の学びも救いもないと思いますが、父の命日も近く、何となく書き残しておきたい気持ちになったのです。ホラーやミステリーの創作に携われる方で、グロテスク描写の参考にしたいという方だけ、お読みいただければと思います。「1スキも付かなくともよいという記事」を書いたことのあるnoterさまがおられるかもしれませんが、私にとって本記事が、正にそのような記事であるかもしれません。「怖い話」が苦手な方も、今回の話は読まない方がよいと思います。このようなモノを読まなくとも、この世の中に読むべき話は無数にあることでしょう。。。》

話を始める前に、私の自画像ヲ挟みます。
引き返される方は、今の内に『ヲ出口』からどうぞ。


[前編:子の話]


海外に住んでいたときのことである。
私は朝、いつものように出社しようとマンションの自室のドアを開けて、ギョッとした。
開けたドアの隙間から踏み出した私の片足、そのちょうど真横に……金髪の女性の頭があった……。

私は、足の隣に横たわる金髪の女性の後頭部に唖然とし、一瞬、動きが止まった。
自室の前に、金髪の女性の生首…………ではなく、胴体は付いていたが、頭が転がっていたのである。
本記事をお読みいただいている各位の中に、ご自宅のドアを開けた途端、足元に人の頭が転がっていた……などという経験をした方が、いったい何人おられるだろうか……。

私は、その金髪女性が死んでいるのかとも心配したが、ひどい泥酔状態であるものの生きてはいるようであった。
軽く声を掛けてはみたが、まるで反応せず、私は「異国の地で、この件を1人で処理したくない」という気持ちになり、マンション1Fまで下りて管理人に警察を呼んでもらうようお願いした。
なぜか(?)少し躊躇していた管理人だったが、私が「もうアナタには伝えました。もし放置して、この女性が後で死んだら、アナタの責任になりますよ」と言ったら、急に「よし! すぐに警察を呼ぼう!」と態度が急変し、ほどなくして警察官が数名来た。
女性警察官に何度か突つかれても、金髪女性は暫く反応しないほどの泥酔状態であったが、その内、警察は何とか彼女を起こし、両脇を抱えるようにして彼女の部屋に連れて行った。

この一件は、これで終わりである。
しかし、私は精神的にショックを受け、その日、仕事を休んだ。
……そればかりか、その次の日もショックで仕事を休んだ。
あのドアを開けた瞬間に目にした「足元に転がる金髪女性の頭」が、なぜか死体の頭のように気味の悪い存在として脳内に刷り込まれ、次の日もドアを開けると、あの金髪の頭がそこにあるのでは……と思うと、気分が悪くなって、その日は部屋から一歩も出られなくなってしまった(その頃はたいへんな時期でもあり、メンタルも落ち込みがちで、今と比べても、誠に繊細なハートであったようだ)。

私は日がな1日、家の中に閉じ籠り、その日は気分が悪くて何もする気にならなかった。
そして、久しぶりに近況報告も兼ねて、日本で暮らす両親に国際電話を掛けた。
電話口には父が出た。
近況報告を済ませた私は、その日仕事を休んだこと、その理由となる前日朝の「金髪女性の頭」の件を父に伝えた。
結果的に、金髪女性は死んではいなかった(従って、金髪の頭も死体ではなかった)訳であるが、あの「横たわる死体」のようなゾッとする光景が自室のすぐ前に再現されているのでは……という視覚的な印象がトラウマのように脳内に刷り込まれてしまったことを父に伝えた。
父も特に私の怯えを否定することなく、「そうかそうか」と聞いていた。
ただし、私がその女性の服が乱れ、片方の大きな胸が飛び出していたということに言い及んだとき、父は「おっ、お前、それは何だか少し羨ましいなぁ。ハハハ」と少しおどけた。
(金髪の女性は、いわゆる「夜の女性」という感じで、露出度の高い服を着ていた。当時、勉強しながら貧乏暮らしをしていた私は、ナイトスポットして有名な繁華街に近い場所に安いマンションを借りて住んでいた)。

ふざけた父に対し、私は少しㇺッとして、「羨ましいような光景ではなかった。薄暗い明け方、自室の前に死体のような半裸の女が転がっていて、こっちはすっかりビビっちまって、仕事まで休んじまった」と言い返した。
実際、金髪女性の半裸な状態が、ある種の「死体感」をより醸し出しているようであり、そのときは不気味に見えたのだ。
父は笑いながら、「いや~、すまんすまん。……ただ、オレもそういった気持ちは分かるぞ。子供の頃、アレを見たときは、さすがに飯食えなかったからなぁ……」と、自分の子供の頃の体験を私に話始めた……。

(後編「親の話」につづく)


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